アセアン諸国経済成長の今後の展望

1991年12月01日

(張 錦鴻)

■見出し

1.政治の安定性
2.外国からの直接投資
3.結論

■introduction

1980代後半、シンガポール・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピンのアセアン5ヵ国は驚異的な成長を遂げた。これら5ヵ国はこの時期OECD諸国の2倍以上である平均7%台の経済成長率を記録している。

この記録的な経済成長を可能としたのは、発展途上国にとって重要な要素である「政治の安定」と「1985年のプラザ合意による世界経済環境の変化」である。米ドルにリンクしている各国通貨に対する日本円の上昇は、生産コストの安いアセアン諸国への日本資本の大量流入をもたらしたのである。

現在、アセアン各国の経済は高インフレと経常赤字の増加に直面し、過熱ぎみとの懸念もあるが、これらは健全な経済国が、時折短期的・周期的に経験するものであり、各国の長期的ファンダメンタルズが健全であれば、この短期的問題も直に好転するものと予想される。

このレポートではこれらアセアン諸国の今後の安定した成長への障害となりうる政治環境と、外国からの投資動向に焦点を絞り考察することとしたい。

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