窪谷 治()
研究領域:
研究・専門分野
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■見出し
はじめに
1.不動産業界の構造と成長
2.中小不動産の財務・収支構造
3.中小不動産業を取り巻く環境の変化
4.金融引締めの影響
5.金融機関への影響
おわりに
■はじめに
'90年春以降の金融引締め強化で不動産業界にかげりが出てきている。
'86年頃から始まった今回の不動産ブームは、円高不況を打開するための内需拡大策としてすすめられた低金利政策に端を発する。金融緩和による過剰流動性の増加は余剰資金を土地や株に向かわせた結果、地価や株価の急騰を招いた。
この不動産ブーム下で不動産業界は規模を急拡大させたが、借入金依存度の高い当業界は金利負担も年々増加し、この地価高騰期に拡大した企業ほど金利や地価動向に大きく左右される体質を自ら形成していったとも言える。
なかでも中小不動産業者は、この地価上昇期に値上がり期待による物件の仕入れを積極的に行った。この時期は短期間で地価が上昇したため、土地の短期売即や業者間売買といったような事業が中小不動産業者にも多大の利益をもたらした。
ただ、地価が実需層が手を出せない水準で、高止まりするに至って、不動産業への過剰融資などが問題視されるようになり、'90年に入って行政当局の金融引締め策が本格的に実施されることとなり不動産市場は一気に冷え込んできている。
本稿では地価高騰時における中小不動産業の事業拡大の過程と金融引締めの影響を、法人企業統計(大蔵省)などの資料をもとに簡単に分析した。
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