イギリスの人頭税について

1990年08月01日

(渡部 克哉)

■見出し

1.3月31日の暴動
2.人頭税
3.人頭税の問題点
4.サッチャー首相の対応
5.人頭税の今後の見通し

■introduction

今年3月31日、ロンドンの中心地区で大きな暴動が発生した。投石、車の放火、店の襲撃等を行なう暴徒約3,000名と、これに衝突する警官隊。たまたま現場に居合わせた私のすぐ目の前をかすめて、空きビンが飛んだ。空きビンはパトカーに当たり、パトカーから出てきた警官はビンを投げた男を引きずるように連行した。インドから移住してきたという、傍のレストランのウェイターは言った。「この国へ来て20数年になるが、こんなことは始めてだ。」

この日は4月1日からの人頭税導入を翌日に控え、トラファルガー広場で行なわれた反人頭税集会に、約10万人が集まっていた。騒ぎはこの閉会後に一部の過激な者が起こしたものとは言え、巻き添えになった市民を含む数十名の負傷者と、341名の逮捕者を出す大騒乱となったことは、イギリス国民の人頭税に対する不満の大きさを物語っている。

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