カナダ国債先物市場について

1990年07月01日

(篠崎 浩一郎)

■見出し

はじめに
1.モントリオール・カナダ国債先物市場創設の背景
2.国債先物の現況
3.トロント国債先物の不成功
4.ME国債先物の再出発
おわりに

■はじめに

1989年9月15日、カナダ国内取引高第2位の規模を持つモントリオール証券取引所(Montreal Exchange:以下ME)にカナダ国債先物が上場された。

1970年代以降、金融市場の変動性が増大する中、主要金融市場国ではシカゴ(1975年)を始め、ロンドン(1982年)、東京(1985年)、パリ(1988年)と次々と債券先物市場が創設され、いずれも盛況を呈しており、今回のMEにおける国債先物上場もその世界的な潮流の中で将来の発展が期待されている。

しかしながらカナダ国内の動きのみに焦点を当てれば、1980年、トロント証券取引所(Toronto Stock Exchange:以下TSE)に国債先物が上場され、不成功に終わった経緯があり、『主要国債市場すなわち国債先物の成功』という図式では単に捉えきれない側面もあると思われる。

本稿では当時のトロント国債先物における問題を探るとともに、それを踏まえてMEがどのような対処を図り、カナダ国債先物を再出発させたか、その背景及び近況を含め紹介したい。

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