外債投資のパフォーマンスについて

1990年03月01日

(大竹 康喜)

■見出し

1.始めに
2.前提
3.パフォーマンス比較
4.結論

■始めに

金融の自由化・国際化が進展するなかで、我が国の対外証券投資は増大を続けている。特に、経常収支の大幅黒字が定着した1983年以降の対外証券投資の増加額は顕著である。

経常収支の黒字額は直接投資、証券投資あるいは銀行勘定等何らかの形で還流するわけであるが、その中でも銀行・投信・生損保を中心とした債券投資はその主流をなすと言える。

しかし、この対外債券投資(外債投資)も、資金還流あるいはポートフォリオの多様化という点からは積極的に進めるべきものであるが、為替変動、金利変動等のリスクが大きく、時として巨額の為替評価損が発生することとなり、こうした点を含んだ外債投資のパフォーマンスについての計最的な評価はあまりない。為替損益と金利差はトレード・オフの関係があると言われているが、数量的な検証が必要であろう。

こうした視点に立って、1970年以降における外債投資について、日本債との比較のなかでのパフォーマンスの試算を試みた。なお、この試算においては、数量ベースではなく、1単位の投資を行った場合の収益率(パフォーマンス―インカムゲインとキャピタルゲイン、キャピタル・ロスの両者を含だ総合収益率)という観点で分析した。

なお、紙数の関係上、日本および米国の債券に関する分析が中心となったが、同様の手法はその他国の債券投資パフォーマンスの分析にも応用できる。これらについては別の機会に譲りたい。

結論的に言えば、今回の試算からは相対的にみて日本債投資の安定的な高いパフォーマンスが検証されたと考えられる。しかし、米国債投資等についても、初期投資時期、償還までの期途中における売却等を考慮に入れれば、日本債以上の高パフォーマンスを上げることも可能であると指摘できよう。

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