オーストラリアにおける国有企業民営化

1989年09月01日

(小山 正裕)

■見出し

1.はじめに
2.民営化の目的、効果
3.外国資本の制限
4.他国との経済環境の違い
5.おわりに

■はじめに

国有企業の民営化は、1970年代の終わりからイギリスにおいて意欲的に始められ、イタリア、フランス等西欧諸国で進められてきた。この潮流は先進国にとどまらず、発展途上国にも見られる。オーストラリアの隣国ニュージーランドにおいても民営化が進行中であり、政府の民間部門への資産売却が進められている。

オーストラリアにおける国有企業民営化は他先進国に比し遅れをとっているものの、最近民営化第1号として、Australian Industry Development Corporation(産業育成のため投資、貸付を行う金融機関)の子会社が株式の18.5%を民間に放出することとなり国際的な関心を集めている。

民営化は政治面でも大きくクローズアップされている。民営化へ向けて明確な指針を示し得ていない与党労働党に対し、自由党、国民党の野党連合は徹底した民営化路線を打ち出している。今年4月に「Privatisation・・・・・The Australian Way」と題する論文を発表し、その中で民営化対象企業を列挙し、そのスケジュールを示し、次期選挙の公約の1つに掲げている。

オーストラリアで注目を浴びている民営化論議について小稿ではその目的、効果、民営化進行中の他国との経済潔境の違いについて検討を加えていくと共に、民営化の与える影響力について考察していきたい。

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