2021年11月04日

日本版「私の年金」の実現を期待

文字サイズ

2024年12月から始まる確定拠出年金(DC)の拠出限度額の算定方法の見直しに向けて、今年9月に政省令等の改正が公布された。

現在のDCの限度額では、確定給付企業年金(DB)等に加入していると、給付の程度にかかわらず一律の取扱いを受ける。新たな算定方法では、5.5万円からDB等ごとに計算される掛金相当額を差し引いた残額が、企業型DCの限度額となる。新たな方法へ対応するため、DBを実施する事業主や基金は、掛金相当額等の情報を企業年金プラットフォームへ提供することが必要となる。

この情報提供の仕組みと、来年10月に始まる企業型DCと個人型DCの限度額を合算管理する仕組みを拡張すれば、日本版「私の年金」を実現できるかもしれない。「私の年金」(minPension)は2004年に始まったスウェーデンの制度で、公的年金と私的年金の受給見込額を一元的に確認し試算できる。英国などの諸外国でも、同様の制度(ダッシュボード)の導入が進められている。

2007年の「年金記録問題」を契機にして、公的年金の「見える化」は進んできた。一昨年の「老後資金の2,000万円問題」を契機に、公私年金の一元的な「見える化」の実現を期待したい。
Xでシェアする Facebookでシェアする

(2021年11月04日「ニッセイ年金ストラテジー」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【日本版「私の年金」の実現を期待】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

日本版「私の年金」の実現を期待のレポート Topへ