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IFRS第17号(保険契約)を巡る動向について-割引率に関する基準の評価等-
中村 亮一
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保険契約のための新たな国際的な会計基準である「IFRS第17号(保険契約)」については、IASB(International Accounting Standards Board:国際会計基準審議会)が、2017年5月18日に基準の最終案を公表し、その後2020年6月25日に修正基準を公表して、その基準内容が確定した状況になってから、1年以上が過ぎた。IFRS第17号は、2023年1月1日からの適用が想定されている。
前回の保険年金フォーカスでは、こうしたIFRS第17号の最終基準の公表を受けてのEU及び英国における採択に向けての動き及び適用初年度の時期を1年半後に迎える中にあっての最近のIFRS第17号へのさらなる修正の動きについて報告した。
今回のレポートでは、IFRS第17号の中でも最も重要な要素である測定における「割引率」を巡る状況について報告する。IFRS第17号の割引率については、保険会社の主計部門等において、実際の保険契約負債を評価するアクチュアリー等にとっては、具体的な設定方法が最も大きな課題となってくるが、これについては、各種のレポートが公表されているので、今回のレポートでは取り上げていない。
むしろ、前回のレポートで報告したEUのEFRAG(European Financial Reporting Advisory Group:欧州財務報告諮問グループ)や英国のUKEB(UK Endorsement Board:英国承認委員会)が、その採択基準において、今回のIFRS第17号における割引率に関する規定をどのように評価しているのかを報告することとする。また、国際的な6大会計事務所ネットワーク(BDO、Deloitte、EY、Grant Thornton、KPMG及びPwC)の代表によるグローバル・フォーラムであるGPPC(Global Public Policy Committee:グローバル公共政策委員会)が、IFRS第17号の適用においてなされた見積りから生じる重要な虚偽表示のリスクに対する監査人の対応に関連するペーパーを発行しているので、この中から割引率に関する記載を報告する。
■目次
1―はじめに
2―EFRAGの最終承認勧告における評価
3―UKEBのテクニカル・ペーパーにおける評価
4―GPPCのペーパーからの記述
5―まとめ
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