2021年07月14日

年金の地域間格差(中国)

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 片山 ゆき

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■要旨

少子高齢化が進む中で、自身が高齢となった場合、生活を支える公的年金制度はどうなっているのか。本稿で取り上げた『年金発展指数(2020)報告』からは、中国の年金制度は地域格差が大きく、その背景には制度の構造上、負担、受給の両面において格差をうみやすい仕組みになっている点がうかがえた。また、年金制度の現況から、定年退職後の準備をどうするか迷いながらも、「就労」という選択肢を想像し始めている点もうかがえた。中国の年金制度は、地域格差が大きいゆえに、その補完となりうる民間保険の役割は大きいといえよう。

■目次

1――少子高齢化の進展、社会保障制度の持続可能性に課題も
2――加入者10億人、中国が抱える世界最大規模の公的年金制度
3――年金の加入状況は、就労者数をベースに考えると地域格差が顕著。会社員が強制加入する
  「都市職工年金」は首都圏が90%を超えるのに対して、珠江デルタ地域は66%に留まる。
4――年金については、前年の平均給与の6割ほどが支給されるものの、地域格差は大きい。定年
  退職後は家計の支出について、5割が「現在の支出の40-60%に縮小」と考えている。
5――定年退職後に向けた準備は4割が「考えていない」。ただし、定年退職後、8割は「何らかの
  仕事をする必要がある」と考えている。ライフプランのサポートや、個人年金の必要性の訴求
  など民間保険の活用の余地は大きい。
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保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

片山 ゆき (かたやま ゆき)

研究・専門分野
中国の社会保障制度・民間保険

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