2025年12月24日

年金問題はタテとヨコに整理。ヨコ問題は統合・拡大で解決へ-2025年 年金改革の背景・意義・課題 (1) 年金問題の整理方法とヨコ問題の背景や流れ 

保険研究部   主席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査部長 兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度全般、家計貯蓄行動

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■要旨

新しい年金制度改正法が2025年6月12日に成立し、公布時に施行されるものを除き、2026年4月から段階的な施行が始まる。本連載では、制度改正をより冷静に受け止めるために、改正内容に加えて改正に至った背景を確認し、改正の意義と残された課題を考察する。

連載の第1回にあたる本稿では、年金問題の整理方法とヨコ問題の原因や流れを確認した。その要点は、次のとおりである。
 
  • 年金問題は、「制度運営」と「制度設計」に大別し、制度設計の問題を、世代間のバランスに関わる「タテの問題」と世代内のバランスに関わる「ヨコの問題」に区別すると、理解しやすい。
     
  • タテの問題は、少子化・長寿化を背景とした年金財政の持続可能性の問題であり、将来を考慮した世代間の負担と給付のバランスが主な論点となる。
     
  • ヨコの問題は、同じ世代の中で、働き方や立場の違いによって負担や給付に差が生じることへの不公平感の問題であり、社会や働き方の変化への対応が重要となる。
     
  • 日本の公的年金制度におけるヨコ問題の背景には、働き方ごとに制度が分立して段階的に創設されてきた歴史があり、これが世代内の不公平感を招く一因となった。
     
  • ヨコ問題への対応として、これまでは基礎年金の創設や被用者年金の一元化という制度の統合が進められ、現在はパート労働者などへの厚生年金の適用拡大が進められている。
 
マスコミやSNSなどを通じて新しい制度改正を知ると、突然の大変更のように感じる場合がある。しかし、年金問題の整理方法やこれまでの対応の流れを知っておけば、より冷静に受け止め、建設的な議論につなげられるだろう。

■目次

はじめに
1 ―― 年金問題の整理方法
  1|整理の手順:制度設計と制度運営に整理し、制度設計をタテの問題とヨコの問題に整理
  2|問題整理の例:厚生年金の適用拡大は、ヨコの問題(世代内バランス)への対応策
2 ―― ヨコ問題の背景と、これまでの対処の大きな流れ
  1|ヨコ問題の背景:制度の創設が働き方ごとに分立
  2|これまでのヨコ問題への対処:基礎年金の創設と被用者年金の一元化による統合(包摂)
  3|これからのヨコ問題への対処:パート労働者等への厚生年金の適用拡大
3 ―― 本稿のまとめ

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年12月24日「基礎研レポート」)

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