- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 資金循環統計(25年7-9月期)~個人金融資産は2286兆円と過去最高を大幅更新、現預金の割合が50%割れに
2025年12月17日
資金循環統計(25年7-9月期)~個人金融資産は2286兆円と過去最高を大幅更新、現預金の割合が50%割れに
03-3512-1870
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
2025年9月末の個人金融資産は前年比106兆円増の2286兆円と過去最高を更新した。株価上昇と円安による時価変動が大きく寄与し、前期末比でも46兆円増加した。物価上昇の影響を加味した実質ベースの伸びでは、5四半期ぶりに前年比でプラス圏に浮上した。高インフレによる資産の目減り圧力が続く中、新NISAを活用して高いリターンが狙える投資信託や対外証券投資、低リスク資産の中で金利が相対的に高い国債・定期預金への資金流入が目立っている。一方、現預金が個人金融資産全体に占める割合は49.1%と18年ぶりに5割を割り込んだ。近年、株高・円安が進み、資産残高が大きく押し上げられたことが主因だ。
■目次
1.個人金融資産(25年9月末):前年比106兆円増、前期末比46兆円増
2.家計の資金流出入の詳細:投信・国債・定期預金への流入目立つ
3.その他注目点:家計の資金余剰はやや拡大、日銀の国債保有割合は緩やかに低下
2025年9月末の個人金融資産は前年比106兆円増の2286兆円と過去最高を更新した。株価上昇と円安による時価変動が大きく寄与し、前期末比でも46兆円増加した。物価上昇の影響を加味した実質ベースの伸びでは、5四半期ぶりに前年比でプラス圏に浮上した。高インフレによる資産の目減り圧力が続く中、新NISAを活用して高いリターンが狙える投資信託や対外証券投資、低リスク資産の中で金利が相対的に高い国債・定期預金への資金流入が目立っている。一方、現預金が個人金融資産全体に占める割合は49.1%と18年ぶりに5割を割り込んだ。近年、株高・円安が進み、資産残高が大きく押し上げられたことが主因だ。
■目次
1.個人金融資産(25年9月末):前年比106兆円増、前期末比46兆円増
2.家計の資金流出入の詳細:投信・国債・定期預金への流入目立つ
3.その他注目点:家計の資金余剰はやや拡大、日銀の国債保有割合は緩やかに低下
1.個人金融資産(25年9月末):前年比106兆円増、前期末比46兆円増
2025年9月末の個人金融資産残高は、前年比106兆円増(4.9%増)の2286兆円となった1。残高はこれまでの最高であった6月末を上回り、過去最高を大きく更新した。年間で見た場合、資金の純流入が24兆円あったうえ、株価が大きく上昇したことで時価変動2の影響がプラス83兆円(うち国内株式等がプラス55兆円、投資信託がプラス17兆円)発生し、資産残高を押し上げた。
次に四半期ベースで見ると、個人金融資産は前期末(6月末)比で46兆円増と4-6月期に続いて大きく増加した。例年、7-9月期は一般的な賞与支給月を含まないことから資金の純流入が進みにくい傾向があり、今回も3兆円の純流入に留まった。一方、この間に株価が大きく上昇し、円安も進んだことで、時価変動の影響がプラス43兆円(うち国内株式等がプラス25兆円、投資信託がプラス10兆円)発生し、資産残高を大きく押し上げた(図表1~4)。
次に四半期ベースで見ると、個人金融資産は前期末(6月末)比で46兆円増と4-6月期に続いて大きく増加した。例年、7-9月期は一般的な賞与支給月を含まないことから資金の純流入が進みにくい傾向があり、今回も3兆円の純流入に留まった。一方、この間に株価が大きく上昇し、円安も進んだことで、時価変動の影響がプラス43兆円(うち国内株式等がプラス25兆円、投資信託がプラス10兆円)発生し、資産残高を大きく押し上げた(図表1~4)。
また、家計の金融資産(グロス)は、既述のとおり7-9月期に46兆円増加したが、この間に金融負債が3兆円増加したため、金融資産から負債を控除した純資産残高は6月末比で43兆円増の1885兆円となっている(図表6)。足元の10-12月期については、一般的な賞与支給月を含むことから、例年、資金の純流入が進む傾向がある。また、9月末以降も、株価が大幅に上昇し、円安が進んでいることから(図表4)、時価変動の影響は大幅なプラスに寄与しているものと推測される。
従って、12月末にかけて株価やドル円が足元に対して横ばい圏で推移すれば、12月末時点の個人金融資産残高は9月末時点の残高を大きく上回り、2300兆円台半ばに達する可能性が高い。
1 今回、2025年4~6月期の計数が改定されている。
2 統計上の表現は「調整額」(フローとストックの差額)だが、本稿ではわかりやすさを重視し、「時価(変動)」と表記。
2.家計の資金流出入の詳細:投信・国債・定期預金への流入目立
7-9月期の個人金融資産への資金流出入について詳細を確認すると(図表7)、例年同様、季節要因(賞与の有無等)によって現預金が純流出(4.2兆円)となった。純流出の規模は前年同期(10.6兆円)を下回ったものの、直近5年の7-9月期平均(2.9兆円)をやや上回っている。
現預金の内訳では、前年同期に続いて流動性預金(普通預金など)からの純流出(6.3兆円)が進んだ。インフレによる価値の目減り懸念を受けて、より金利の高い定期預金や個人向け国債、リスク性資産などへの資金シフトが生じたことが背景にある。日銀による利上げを受けて普通預金金利も引き上げられてはいるものの、金利水準が相対的に低いため、資金シフトに弾みがついている模様だ。
一方、定期性預金(定期預金など)は2.7兆円の純流入と2四半期連続の純流入になった。2.7兆円という純流入額は2009年4-6月以来の規模にあたる。利上げを受けて定期預金金利の水準が引き上げられたことを受けて、満期到来分の再預け入れが進んだり、流動性預金から一部資金がシフトしたりしたことで純流入が進んだとみられる。
次に、リスク性資産等への投資フロー(時価の変動は含まない)を確認すると(図表7)、まず代表格である株式等が2.0兆円の純流出となった。純流出は2期連続となる。もともと個人投資家は逆張り志向が強いことから、株価の急上昇を受けた利益確定売りが優勢になったものと推測される。
現預金の内訳では、前年同期に続いて流動性預金(普通預金など)からの純流出(6.3兆円)が進んだ。インフレによる価値の目減り懸念を受けて、より金利の高い定期預金や個人向け国債、リスク性資産などへの資金シフトが生じたことが背景にある。日銀による利上げを受けて普通預金金利も引き上げられてはいるものの、金利水準が相対的に低いため、資金シフトに弾みがついている模様だ。
一方、定期性預金(定期預金など)は2.7兆円の純流入と2四半期連続の純流入になった。2.7兆円という純流入額は2009年4-6月以来の規模にあたる。利上げを受けて定期預金金利の水準が引き上げられたことを受けて、満期到来分の再預け入れが進んだり、流動性預金から一部資金がシフトしたりしたことで純流入が進んだとみられる。
次に、リスク性資産等への投資フロー(時価の変動は含まない)を確認すると(図表7)、まず代表格である株式等が2.0兆円の純流出となった。純流出は2期連続となる。もともと個人投資家は逆張り志向が強いことから、株価の急上昇を受けた利益確定売りが優勢になったものと推測される。
一方、投資信託は2.2兆円の純流入となった。株式同様に、一部で利益確定売りが生じたとみられ、純流入の規模は前年同期(2.6兆円)をやや下回ったものの、NISAの普及やインフレを追い風として、息の長い純流入が継続している。トレンドを見るために4四半期累計フローを確認した場合でも(図表9)、投資信託への高水準の資金純流入が目立っている。
その他資産では、確定拠出年金内の投資信託(0.3兆円の純流入)で堅調な純流入が続いているほか、国内預金よりも金利水準が高い国債(0.7兆円の純流入)や対外証券投資(0.4兆円の純流入)への資金流入が目立つ。
高インフレによる資産の目減り圧力が続く中、(1)新NISAを活用して高いリターンが狙える投資信託や対外証券投資、(2)低リスク資産の中で金利が相対的に高い国債・定期預金への資金流入が目立っている。
なお、現預金が個人金融資産全体に占める割合は、9月末で49.1%(6月末は50.3%)と5割を割り込んだ(図表10)。5割を割り込むのは2007年9月以来18年ぶりのことだ。近年、株高・円安が進み、時価の上昇を通じて資産残高が大きく押し上げられたことが主因だ。また、インフレなどを受けて現預金への資金流入が伸び悩み、投資信託等へのシフトが発生したことも影響している。
その他資産では、確定拠出年金内の投資信託(0.3兆円の純流入)で堅調な純流入が続いているほか、国内預金よりも金利水準が高い国債(0.7兆円の純流入)や対外証券投資(0.4兆円の純流入)への資金流入が目立つ。
高インフレによる資産の目減り圧力が続く中、(1)新NISAを活用して高いリターンが狙える投資信託や対外証券投資、(2)低リスク資産の中で金利が相対的に高い国債・定期預金への資金流入が目立っている。
なお、現預金が個人金融資産全体に占める割合は、9月末で49.1%(6月末は50.3%)と5割を割り込んだ(図表10)。5割を割り込むのは2007年9月以来18年ぶりのことだ。近年、株高・円安が進み、時価の上昇を通じて資産残高が大きく押し上げられたことが主因だ。また、インフレなどを受けて現預金への資金流入が伸び悩み、投資信託等へのシフトが発生したことも影響している。
3.その他注目点:家計の資金余剰はやや拡大、日銀の国債保有割合は緩やかに低下
7-9月期の資金過不足(季節調整値)を主要部門別にみると(図表11)、民間非金融法人(企業)の資金余剰が9.5兆円(前期は0.9兆円)、家計の資金余剰が5.8兆円(前期は4.2兆円)とそれぞれ余剰が拡大した。企業では収益の改善が、家計では名目賃金の上昇や住宅投資の落ち込みが寄与したものと推測される。ただし、名目賃金の上昇の割に家計の資金余剰額は伸び悩んでおり、インフレによる支出増や所得税・消費税の増加が圧迫要因になっているためと考えられる。政府部門の資金不足は1.7兆円(前期は3.3兆円)へと縮小した。好調な企業業績やインフレを背景とする税収の増加を受けたものとみられるが、資金不足の縮小傾向が続いている。
なお、海外部門は9.8兆円の資金不足(前期は6.7兆円の資金不足)と引き続き大幅な資金不足であった。
9月末の国債(国庫短期証券を含む)発行残高は1185兆円と、6月末(1198兆円)から13兆円減少した。国債利回りの上昇によって、時価が16兆円目減りしたためだ。最大の保有者である日銀の国債保有高は9月末時点で524兆円と6月末から16兆円減少した。日銀は段階的に長期国債の買入れ減額を進めており、7-9月期に10兆円の純流出が進んだほか、金利上昇による時価減少が6兆円発生したためだ。
この結果、日銀の保有シェアは44.2%と6月末(45.0%)をやや下回った(図表12)。日銀の保有シェアは2023年末をピークとして緩やかな低下基調にある。ただし、このうち1年超の長期国債に限った場合の日銀のシェアは50.005%(6月末は50.9%)となっており、引き続き全体の過半を日銀が保有している点は変わらない。次回12月末分のシェアは50%を割り込むと予想される。
(2025年12月17日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
新着記事
-
2026年02月10日
今週のレポート・コラムまとめ【2/3-2/9発行分】 -
2026年02月09日
Investors Trading Trends in Japanese Stock Market:An Analysis for January 2026 -
2026年02月09日
投資部門別売買動向(26年1月)~海外投資家・個人ともに買い越し~ -
2026年02月09日
社会保障の原風景と新しい形-国民会議に求める役割と、社会保障と税の一体改革の行方 -
2026年02月09日
住宅への愛着がもたらす維持管理行動の促進-物語性を通じた住宅良質化の循環に向けて-
お知らせ
-
2025年12月16日
News Release
令和7年度 住宅ストック維持・向上促進事業「良質住宅ストック形成のための市場環境整備促進事業」に関するシンポジウムの開催
-
2025年12月01日
News Release
-
2025年12月01日
News Release
【資金循環統計(25年7-9月期)~個人金融資産は2286兆円と過去最高を大幅更新、現預金の割合が50%割れに】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
資金循環統計(25年7-9月期)~個人金融資産は2286兆円と過去最高を大幅更新、現預金の割合が50%割れにのレポート Topへ














