2025年12月17日

貿易統計25年11月-米国向け自動車輸出が増加に転じる

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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■要旨

25年11月の貿易収支は3,222億円の黒字となり、事前の市場予想を上回った。季節調整値でも2か月連続の黒字を確保した。

地域別には、中国向け輸出の低迷が続く一方、米国・EU向けが好調で全体を押し上げた。

自動車輸出は前年比1.5%(10月:同▲7.5%)と8カ月ぶりの増加となった。輸出価格は前年比▲5.7%(10月:同▲6.6%)と下落が続いているが、縮輸出数量が前年比7.7%(10月:同▲0.9%)と5ヵ月ぶりに増加した。

米国向けを中心に輸出が回復していることから、10–12月期の外需寄与は2四半期ぶりにプラスとなる可能性が高まっている。

■目次

1.貿易収支(季節調整値)が2ヵ月連続の黒字
2.米国向けの輸出数量が急増
 

1.貿易収支(季節調整値)が2ヵ月連続の黒字

1.貿易収支(季節調整値)が2ヵ月連続の黒字

財務省が12月17日に公表した貿易統計によると、25年11月の貿易収支は3,222億円の黒字となり、黒字幅は事前の市場予想(QUICK集計:592億円の黒字、当社予想は1,283億円の黒字)を上回った。輸出(10月:前年比3.6%→11月:同6.1%)、輸入(10月:同0.7%→11月:同1.3%)ともに前月から伸びを高めたが、輸出の伸びが輸入の伸びを上回ったため、貿易収支は前年に比べ4,430億円の改善となった。

輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比0.5%(10月:同▲1.3%)、輸出価格が前年比5.6%(10月:同5.0%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比3.8%(10月:同1.5%)、輸入価格が前年比▲2.4%(10月:同▲0.8%)であった。
貿易収支の推移/貿易収支(季節調整値)の推移
輸出金額の要因分解/輸入金額の要因分解
季節調整済の貿易収支は629億円(10月:740億円)と2ヵ月連続の黒字となった。輸出が前月比3.4%、輸入が同3.5%となった。
原油価格(ドバイと入着ベース)の推移 25年11月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=71.3ドル(当研究所による試算値)と10月の74.4ドルから低下した。足もとの原油価格(ドバイ)は60ドル程度まで下落しており、指標価格に上乗せされる調整金、船賃、保険料などを含めた通関ベースの原油価格は12月には60ドル台後半まで低下することが見込まれる。

2.米国向けの輸出数量が急増

2.米国向けの輸出数量が急増

25年11月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比14.0%(10月:同0.0%)、EU向けが前年比16.0%(10月:同4.9%)、アジア向けが前年比▲2.5%(10月:同▲2.4%)、うち中国向けが前年比▲14.0%(10月:同▲3.3%)となった。
地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移 25年11月の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前月比19.9%(10月:同2.6%)、EU向けが前月比5.1%(10月:同1.4%)、アジア向けが前月比2.1%(10月:同▲2.2%)、うち中国向けが前月比▲3.6%(10月:同▲3.6%)、全体では前月比3.0%(10月:同▲0.5%)となった。

中国を向けは非常に弱いが、欧米向けの好調がそれをカバーしている。中国向け輸出の落ち込みは中国経済の低迷に加え、日中関係悪化に伴う輸入規制(水産物の輸入停止)が影響していると考えられる。

11月の米国向けの輸出数量が急増した一因は医薬品の大幅増加(前年比76.2%)だが、これは関税引き上げを見込んだ駆け込み需要の可能性が高く、持続的なものではないだろう。
米国向け自動車輸出の推移 一方、夏場以降低迷が続いていた自動車輸出は前年比1.5%(10月:同▲7.5%)と8カ月ぶりの増加となった。輸出価格は前年比▲5.7%(10月:同▲6.6%)と下落が続いているが、縮輸出数量が前年比7.7%(10月:同▲0.9%)と5ヵ月ぶりに増加した。

自動車関税が9月に27.5%から15.0%に引き下げられことに加え、米国でEV車に対する補助金(税額控除)が9月末で終了し、日本車の優位性が高まったことが輸出の増加につながっている可能性がある。

25年10、11月平均の輸出数量指数(当研究所による季節調整値)は7-9月期よりも1.6%高い。一方、25年10、11月の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は7-9月期よりも▲1.1%低い。10-12月期の外需寄与度は7-9月期に続きマイナスになると予想していたが、米国向けを中心に輸出が上振れていることから、2四半期ぶりのプラスとなる可能性が高くなってきた。

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(2025年12月17日「経済・金融フラッシュ」)

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