2025年12月15日

インド消費者物価(25年12月)~食品デフレは続くも、11月CPIは0.71%へ反発

経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

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1.総合CPIは0.71%に反発も、低インフレ局面は継続

インド統計・計画実施省が12月12日に公表した消費者物価指数(以下、CPI)によると、11月のCPI上昇率は前年同月比0.71%と、依然として低水準であるものの、10月の同0.25%から上昇した(図表1)。市場予想(同0.70%)1どおりの結果であった。

都市部では前年比1.4%(前月:0.9%)、農村部では0.1%(同▲0.3%)と、両地域でインフレ率が上昇したことが示されている。

もっとも今回の物価上昇は基調の転換というより、食品デフレのマイナス幅の縮小(ベース効果含む)や、一部品目での季節要因が主因とみられ、当面は低水準で推移しやすい局面が続くとみられる。
 
1 Bloomberg集計の中央値。

2.食品デフレは継続、マイナス幅は縮小

食品価格は前年同月比▲3.9%と、前月の▲5.0%から下落幅が縮小した(図表1)。特に野菜(▲22.2%)を中心とした生鮮品の下落は続きつつも、前年比でみた物価の押し下げは幾分弱まっている。また卵(3.8%)、肉・魚介類(2.5%)、香辛料(▲2.9%)などで上昇率が高まっており、食品価格全般の下押し圧力が和らいでいる(図表2)。

もっともカリフ作の収穫により供給量は増えているため、食品がデフレ圏から抜けるには時間を要するものとみられる。
(図表1)消費者物価上昇率/(図表2)食品価格指数の要因分解

3.燃料価格は小幅上昇、為替動向には注意

燃料・光熱費は前年比2.3%と、前月の2.0%から伸びがやや加速している(図表1)。原油価格やLPG・ディーゼル、為替動向が一定程度作用している可能性がある。特に、足元のルピー安が輸入コストを通じて燃料・輸送関連の上方圧力になり得る点は注意すべきだろう。12月初旬には1ドル=90ルピーを超える局面もある。もっとも現時点では、燃料の寄与は依然として食品要因に比べ限定的であり、総合インフレの方向性は引き続き食品主導で決まりやすい状況が続いている。

4.コアインフレは4%台半ば、GST減税が下押し

食品と燃料を除くコアCPIは前年比4.3%と、前月(4.4%)から小幅に低下した(図表1)。11月も貴金属価格の高止まりを背景にパーソナルケア(24.0%)が高い伸びを示す一方、保健(3.6%)、教育(3.4%)、家庭用品・サービス(2.0%)、衣料品・履物(1.5%)、娯楽(1.3%)は鈍化した。注目点は、9月下旬に実施されたGST減税の影響が、コアインフレの下押しに働いていることである。コアインフレはGST減税の影響で低下しやすい一方、金銀価格の上昇が一部相殺している。

したがって、食品デフレと対照的にコアインフレが粘着的であるとは言え、直近はコアインフレにも弱含みの芽があり、ヘッドライン同様に上昇しにくい局面が続く可能性がある。

5.低インフレ環境下でRBIは慎重姿勢を維持

(図表3)インフレ率と政策金利 11月の総合CPIの上昇は、10月まで続いていた過度の低インフレ局面からの反動という性格が強い。特に食品インフレのマイナス幅が縮小したことが主因であり、供給改善だけでなく季節要因・ベース効果の影響が濃厚である。

金融政策面では、インド準備銀行(RBI)は12月の金融政策委員会(MPC)で0.25%の利下げ(政策金利5.25%)を実施した(図表3)またRBIはインフレ見通しを引き下げ、食品主導でインフレ圧力が抑制されるとの見方を強めている。

ヘッドラインが物価目標の下限(2%)を下回る期間が長期化すると、追加利下げが意識される余地がある一方で、ルピー安による輸入インフレは上昇圧力となる。通貨要因はインフレと政策判断の両面で不確実性として残る。

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(2025年12月15日「経済・金融フラッシュ」)

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斉藤 誠 (さいとう まこと)

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東南アジア経済、インド経済

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