2025年12月12日

三度目の正直?ケアマネジメント有料化論議の行方は-厚生労働省が示した3つの選択肢や相談体制強化との関係性などを検証する

保険研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

三原 岳 (みはら たかし)

研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論

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■要旨

3年に一度の介護保険見直しに関連し、介護保険のサービス調整や利用者の生活支援を図るケアマネジメントの有料化論議が持ち上がっている。具体的には、2027年度制度改正に向けて、厚生労働省老健局が2025年11月の社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)介護保険部会で、有料化に向けた3つの案を提示した。それは(1)利用者の所得状況を反映させる案、(2)住宅型有料老人ホームの入居者を対象に徴収する案、(3)給付管理業務の実費相当分を求める案――の3つであり、介護保険部会では賛否両論が交わされた。

この問題は2021年度、2024年度の制度改正論議でも浮上し、結論が先送りされ続けてきた経緯があり、本格的な論議は3度目。今までは是非だけが論じられていたが、3度目にして初めて具体的な選択肢が示された形だ。今後、介護保険部会で意見を集約し、制度改正に踏み切る場合、2026年通常国会に介護保険法改正案が提出される流れが想定される。

しかし、3つの選択肢には疑問点も少なくない。さらに、政府内の議論を見る限り、重要な視点がいくつか抜けているように感じられる。特に「相談体制の強化」という福祉政策の大きな流れに反するのではないか、という疑問を持っている。

そこで、本稿はケアマネジメント有料化を巡る経緯や論点を整理するとともに、厚生労働省の提案を検証する。さらに国の審議会の議論で抜けている点を指摘し、有料化の懸念点を検討する。

■目次

1――はじめに~三度目の正直?ケアマネジメント有料化論議の行方は~
2――ケアマネジメントとは何か
3――ケアマネジメント有料化を巡る経緯
  1|利用者負担を徴収しなかった理由
  2|前回改正における介護保険部会の議論
  3|過去2回の先送りにおける論点
  4|最近までの動き(1)~少子化対策の余波としての「改革工程」~
  5|最近までの動き(2)~財政審の動き、骨太方針の記述~
4――介護保険部会で示された3つの選択肢
  1|3つの選択肢の概要
  2|3つの選択肢の狙いや意味合い(1)~所得状況を勘案~
  3|3つの選択肢の狙いや意味合い(2)~有料老人ホームに関するケアマネジメントの有料化~
  4|3つの選択肢の狙いや意味合い(3)~給付管理に関わる部分の有料化~
  5|3つの選択肢に関する私見
5――これまでの議論で抜けている論点(1)有料化と質向上の関係
6――これまでの議論で抜けている論点(2)相談体制の強化との整合性は
  1|相談体制の強化を巡る経緯
  2|財務省の指摘はケアマネジメントの対象範囲を狭める?
7――これまでの議論で抜けている論点(3)保険外サービス拡大との整合性
  1|保険外を巡る経緯
  2|保険外の拡大を阻害?
8――これまでの議論で抜けている論点(4)限度額との関係性
9――おわりに~有料化は割に合うのか~

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年12月12日「基礎研レポート」)

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