2025年12月11日

ロシアの物価状況(25年11月)-インフレ鎮静化が継続、前年比6%台まで低下

経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

このレポートの関連カテゴリ

文字サイズ

1.結果の概要:前年比で総合指数、コア指数のいずれも低下

12月10日、ロシア連邦統計局は消費者物価指数を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【総合指数(25年11月)】
前年同月比は6.64%、市場予想1(6.76%)から下振れ、前月(7.71%)から低下した(図表1)
前月比は0.42%、市場予想(0.50%)から下振れ、前月(0.50%)から減速した

【コア指数2(25年11月)】
前年同月比は6.12%、前月(6.94%)から低下した(図表2)
前月比は0.32%、前月(0.14%)から加速し

(図表1)ロシアの消費者物価上昇率/(図表2)ロシアのインフレ率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 生鮮食品など季節的要因による影響を受ける品目や管理品目を除いた指数。

2.結果の詳細:インフレ圧力の低下傾向が継続

11月のロシアのインフレ率は前年比で6.64%となり、10月(7.71%)から大幅に低下し、市場予想(6.76%)も下回った。3月(10.34%)をピークに8か月連続で低下した。

インフレ率を大分類別に見ると、11月の前年比伸び率は食料品が7.51%(前月:9.25%)、財(非食料品)が3.47%(前月:3.83%)、サービスが9.36%(前月:10.39%)となり、いずれの大分類でも低下、特に食料品とサービスの低下幅が大きかった。すべての大分類が低下するのは7か月連続となる。前年比寄与度では食料品が2.9%ポイント程度、財(非食料品)が1.2%ポイント程度、サービスが2.6%ポイント程度と見られる(図表1)。

11月の前月比伸び率は、総合指数で0.42%(前月:0.50%)、コア指数で0.32%(前月:0.14%)と総合指数では低下、コア指数では上昇した。総合指数・コア指数ともにコロナ禍前の標準的な上昇率程度の伸びとなった(2018年の前月比伸び率は平均で総合指数が約0.35%、コア指数が約0.30%、図表3)。

前月比伸び率を大分類で見ると食料品が0.69%(前月:1.05%)、財(非食料品)が0.16%(前月:0.67%)、サービスが0.36%(前月:▲0.42%)となった。10月に加速した食料品および財インフレが11月に沈静化したことがわかる。一方。サービスは再びプラスの伸びに転じた。

別途、ロシア連邦統計局が公表している週次のインフレ率(消費者物価上昇率)を見ると、最新の12月8日時点の前週比で0.05%と低めで、趨勢的にもインフレ圧力は沈静化している(図表4)。
(図表3)ロシアのインフレ率(前月比)/(図表4)ロシアのインフレ率(前週比)
(図表5)ロシアのインフレ率と家計のインフレ期待 ロシア中央銀行が公表する家計のインフレ期待(1年先中央値、実際のインフレ率よりも高めになる傾向がある)は、11月は13.3%で10月(12.6%)から上昇した。実際のインフレ率が低下するなかで、期待インフレ率が横ばい圏で推移したため、過去の傾向(期待インフレ率≒前年比インフレ率+6%、図表5)と比較した実際のインフレ率と期待インフレ率の乖離はほぼなくなった。
品目別の上昇率を見ると3(図表6)、11月は前年比で魚・海鮮(13.65%)、文化サービス(14.32%)、住居・公益サービス(13.17%)、ガソリン(12.76%)の伸び率が高い一方、卵(▲15.98%)、テレビ(▲6.74%)、グラニュー糖(▲3.96%)、海外旅行サービス(▲3.59%)などは前年比で大幅マイナスとなっている。また、前月比では、青果物(4.00%)、旅客サービス(19.5%)の上昇率が相対的に大きい一方、グラニュー糖(▲1.77%)、海外旅行サービス(▲1.02%)の下落幅が大きかった。
(図表6)ロシアの品目別インフレ率
各品目の消費ウエイトも考慮して、全体のインフレ率への寄与を品目別に見ると(図表7・8)、前年比上昇率への寄与が大きい品目は住居・公益サービス(1.32%ポイント)、家庭サービス(0.56%ポイント)、ガソリン(0.56%ポイント)、アルコール(0.48%ポイント)、肉(0.43%ポイント)、下落率への寄与が大きい品目は成果物(▲0.10%ポイント)、卵(▲0.09%ポイント)だった。

前月比上昇率の寄与では、青果物(約0.20%ポイント)のプラス寄与が相対的に高い一方、ガソリン(約▲0.04%ポイント)はマイナス寄与が大きくなっている。
(図表7)ロシアの品目別インフレ率(前年比寄与度、抜粋)
(図表8)ロシアの品目別インフレ率(前月比寄与度、抜粋)
なお、現時点において統計局ウェブサイトで公表されていない品目も含む10月の上昇率寄与は図表9・10の通りとなった。
(図表9)ロシアの品目別インフレ率(前年比寄与度)
(図表10)ロシアの品目別インフレ率(前月比寄与度)
 
3 大分類である食料品、財(非食料品)、サービスをそれぞれ細目別に分類したもの(中分類)のうち、統計局のウェブサイトで公表しているものを記載。健康増進サービスおよび残差から算出されたその他サービスは前月比のみ。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年12月11日「経済・金融フラッシュ」)

このレポートの関連カテゴリ

Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

週間アクセスランキング

ピックアップ

【ロシアの物価状況(25年11月)-インフレ鎮静化が継続、前年比6%台まで低下】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

ロシアの物価状況(25年11月)-インフレ鎮静化が継続、前年比6%台まで低下のレポート Topへ