2025年12月11日

米国ホリデー商戦に見るAIショッピングアシスタントの台頭-消費への生成AIの浸透がもたらす「期待」と「リスク」(2)

生活研究部   准主任研究員

小口 裕 (おぐち ゆたか)

研究・専門分野
消費者行動(特に、エシカル消費、サステナブル・マーケティング)、地方創生(地方創生SDGsと持続可能な地域づくり)

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■要旨
 
  • 米国のホリデー商戦では、ウォルマート、アマゾン、グーグル、ターゲットといった大手企業が、AIを活用したショッピングアシスタントを相次いで投入した。
     
  • こうした動きは日本でも例外ではなく、大手ECやテック企業はAIショッピングアシスタントを導入し始めているが、その一つが、OpenAIがChatGPT Proユーザー向けに提供する「Shopping research in ChatGPT(以降、ショッピングリサーチ)」である。
     
  • ショッピングリサーチが、利用者の期待値を適切に調整しながら、ポジティブな購買経験とリピート利用を促してくる対応を観察すると、AIが顧客接点全体の質を変えるポテンシャルを感じさせる。今後は、金融、保険、旅行、医療・ヘルスケアなど、企業と消費者の情報格差の大きいカテゴリーを中心に、AIショッピングアシスタントの価値が急速に高まっていく可能性がある。
     
  • その一方で、米ニューヨーク州では「アルゴリズム価格開示法」が2025年11月に施行された。これは企業が消費者の個人データに基づくアルゴリズムを使って価格を設定・動的に調整する場合、その旨を明確かつ同時に開示することを義務づけるものとなっている。
     
  • このような企業による意図的で消費者に不利な価格操作や、「AIに選んでもらう」ことへの消費者の過剰依存など、ショッピングアシスタントが消費者により近い存在となるにつれ、新たなリスクが生じる可能性もうかがえる。今後、消費者にとっての利便性向上とリスク対処の両面からショッピングアシスタントの適切な開発・運用が求められる。


■目次

1――AIショッピングアシスタントが存在感を増した米ホリデー商戦
  1|米ウォルマート、アマゾン、ターゲット等が「AIショッピングアシスタント」を投入
  2|日本でも2025年は「号砲」の年に~OpenAIとAmazonが動き出す
  3|2025年7月にAmazon Rufusリリース
   ~AIショッピングアシスタントが消費に与える影響とは 
2――一般的な生成AIとの違い~対話とリサーチを組み合わせた新しい買い物体験
3――ケーススタディで見えたAIの本質~対話とリサーチを組み合わせた「新しい比較体験」
  1|最初の一言から始まる条件抽出
  2|抽出条件を踏まえ、商品リストを動的に再構成
  3|数分後に届く「用途別の6選」
  4|条件の深掘りと再計算~「理想」と「現実解」の区別
  5|購入意向に応じたアフターフォロー
  6|ケースから見える示唆~検索から「対話で選ばれる」時代へ
4――AIが消費の意思決定の上流を握る時代
  1|金融、保険、旅行、医療・ヘルスケアなど
   ~企業と消費者の情報格差を縮めるAIの可能性
  2|消費者に深く入り込むAIゆえのリスク
   ~過剰依存・判断力の低下が生む新たな課題への備え
参考|ChatGPTショッピングリサーチとAmazon Rufusの違い

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年12月11日「基礎研レター」)

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小口 裕 (おぐち ゆたか)

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