2025年12月09日

米国経済の見通し-政策不透明感の中でも底堅さを維持する米経済。関税政策の影響緩和などから26年も堅調を予想

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

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■要旨
 
  1. 米国の25年7-9月期の実質GDPは、政府閉鎖の影響で公表が遅れ、12月23日に発表される予定である。既発表の7-9月期の実質個人消費は前期から伸びが加速しているほか、アトランタ連銀のGDPナウも前期比年率+3.5%と底堅い成長が見込まれている。
     
  2. 米経済はトランプ政権の関税・移民政策が重石となっているものの、影響は当初想定ほど大きくない。AI関連投資の増加や株高による富裕層消費が下支えし、景気は底堅い。
     
  3. 10-12月期は労働市場の減速が続く一方、年末商戦の好調で個人消費は堅調とみられる。ただし、政府閉鎖の影響から成長率は大きく低下する見通しである。
     
  4. 緊急経済権限法(IEEPA)を根拠とした関税の違憲判断の可能性が高まり、政策の予見可能性が低下しているが、関税の影響は26年以降徐々に緩和するとみられる。7月に成立した減税・歳出法(OBBBA)の景気押し上げや金融緩和、AI関連投資を背景に、26年は実質GDP成長率+2.1%と25年見込みの+1.9%を上回る見込み。27年は+2.0%を予想している。
     
  5. 金融政策では、関税によるインフレ押し上げが限定的であることや労働市場の弱さを踏まえ、FRBは12月に利下げを実施する見込み。当研究所は26年にさらに2回の利下げを見込んでいる。
     
  6. リスク要因として、トランプ政権の関税政策をはじめとする予見可能性の低い経済政策に加え、株価調整に伴うAI関連投資や富裕層消費の減速が挙げられる。

 
(図表1)米国の実質GDP成長率(寄与度)
■目次

1.経済概況・見通し
  (経済概況)
   政府閉鎖で7-9月期の実質GDPの発表は延期、ナウキャスト等は堅調を示唆
  (経済見通し)
   成長率(前年比)は25年見込みが+1.9%、26年が+2.1%、27年が+2.0%を予想
2.実体経済の動向
  (労働市場、個人消費)
   労働市場は減速が続く一方、個人消費は富裕層主導で底堅さを維持
  (設備投資)
   26年の設備投資はプラス維持も成長鈍化は不可避。AI関連頼みの構図が続く
  (住宅投資)
   当面マイナス基調が続くも、金利低下で27年にかけて緩やかに回復へ
  (政府支出)
   史上最長の政府閉鎖後も財政運営は不透明、IEEPA関税判決が新たなリスクに
  (貿易)
   外需は回復傾向だが、関税政策の行方が今後の貿易動向のカギに
3.物価・金融政策・長期金利の動向
  (物価)
   関税の押し上げ効果はピークアウト、27年にかけてインフレは鈍化へ
  (金融政策)
   25年は12月に利下げした後、26年は2回、27年は1回の利下げを予想
  (長期金利)
   26年10-12月期平均が4.1%、27年10-12月期が3.9%と予想

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(2025年12月09日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

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