2025年12月08日

米個人所得・消費支出(25年9月)-個人所得が市場予想を上回った一方、個人消費、PCE総合・コア価格指数は市場予想に一致

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

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■要旨
 
  • 個人所得は前月比+0.4%と市場予想を上回り、賃金・給与と利息配当収入が伸びを支えた。
     
  • 実質消費は前月比横這い。自動車を中心に財消費が減速する一方、サービスも伸びが鈍化した。
     
  • PCE価格指数は総合・コアともに前年同月比+2.8%と市場予想に一致したものの、高止まりとなった。


■目次

1.結果の概要:個人所得が市場予想を上回った一方、個人消費は市場予想に一致
2.結果の評価:25年7-9月期の実質個人消費は堅調を維持
3.所得動向:賃金・給与、利息配当収入が堅調な伸び
4.消費動向:自動車の減少から財消費の伸びが鈍化
5.価格指数:エネルギー価格は前月比、前年同月比ともに物価を押し上げ
 

1.結果の概要

1.結果の概要:個人所得が市場予想を上回った一方、個人消費は市場予想に一致

12月5日、米商務省の経済分析局(BEA)は9月の個人所得・消費支出統計を政府閉鎖の影響により、当初予定(10月31日)から35日遅れで公表した。個人所得(名目値)は前月比+0.4%(前月:+0.4%)と前月に一致した一方、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.3%を上回った(図表1)。個人消費支出は前月比+0.3%(前月改定値:+0.5%)と+0.6%から下方修正された前月を下回った一方、市場予想の+0.3%に一致した。価格変動の影響を除いた実質個人消費支出(前月比)は横這い(前月改定値:+0.2%)と+0.4%から下方修正された前月、市場予想(+0.1%)を下回った(図表5)。貯蓄率1は4.7%(前月:4.7%)と前月から横這いとなった。

価格指数は、総合指数が前月比+0.3%(前月:+0.3%)と前月、市場予想(+0.3%)に一致した。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.2%(前月:+0.2%)とこちらも前月、市場予想(+0.2%)に一致した(図表6)。前年同月比は総合指数が+2.8%(前月:+2.7%)と前月から上昇した一方、市場予想(+2.8%)に一致した。コア指数は+2.8%(前月:+2.9%)とこちらは前月から低下した一方、市場予想(+2.8%)に一致した(図表7)。
 
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。

2.結果の評価

2.結果の評価:25年7-9月期の実質個人消費は堅調を維持

(図表1)個人所得・消費支出、貯蓄率 個人消費(前月比)は名目ベースで7月、8月と+0.5%と2ヵ月連続で堅調となった後、9月は+0.3%と伸びが鈍化した(図表1)。実質ベースでも7月の+0.4%、8月の+0.2%から9月は横這いと鈍化傾向が続いている。もっとも、7-9月期の実質個人消費(3ヵ月移動平均、3ヵ月前比、年率)は+2.7%と4-6月期の+2.5%から伸びが加速しており、7-9月期も堅調な個人消費を確認した。

もっとも、堅調な個人消費は株式市場の上昇に伴う資産効果を背景に富裕層中心とみられ、実質可処分所得(3ヵ月移動平均、3ヵ月前比、年率)が7-9月期に+0.4%と4-6月期の+3.1%から大幅に鈍化しているため、中低所得者層の個人消費の持続可能性には懸念が残る結果と言えよう。

一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数は総合指数、コア指数ともに前月比が前月に一致したが、前年同月比では総合指数が前月から小幅上昇する一方、コア指数は小幅低下するなどマチマチの動きとなった。ただし、総合指数、コア指数ともに3%弱とFRBの物価目標(2%)を大幅に上回っている状況に変化はなく、関税の影響などによる物価上昇圧力は燻っている。

3.所得動向

3.所得動向:賃金・給与、利息配当収入が堅調な伸び

9月の個人所得(前月比)は概ね前月並みの堅調な伸びを維持した(図表2)。内訳をみると、自営業者所得が▲0.1%(前月:+0.6%)と前月からマイナスに転じたほか、移転所得も+0.3%(前月:+0.8%)と前月から伸びが鈍化した。一方、賃金・給与が+0.4%(前月:+0.4%)と堅調な伸びを維持したほか、利息配当収入が+0.7%(前月:▲0.1%)と前月からプラスに転じた。

個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、9月の名目が+0.3%(前月:+0.4%)と前月から小幅に伸びが鈍化した(図表3)。価格変動の影響を除いた実質ベース(前月比)は+0.1%(前月:+0.1%)と小数第1位までみると前月並みの伸びを維持したものの、小数第2位では8月の+0.11%から9月は0.06%と前月から伸びが鈍化した。
(図表2)名目個人所得(前月比寄与度)/(図表3)可処分所得(名目、実質)

4.消費動向

4.消費動向:自動車の減少から財消費の伸びが鈍化

9月の名目個人消費(前月比)は、サービス消費が+0.4%(前月:+0.5%)と前月から小幅に伸びが鈍化したものの、堅調を維持した一方、財消費が横這い(前月:+0.5%)と前月から伸びが鈍化した(図表4)。

財消費は、耐久財が▲0.7%(前月:▲横這い)と前月からマイナス幅が拡大したほか、非耐久財が+0.4%(前月:+0.7%)と前月から伸びが鈍化した。

耐久財では、家具・家電が+0.1%(前月:▲横這い)と前月から小幅ながらプラスに転じた一方、娯楽財・スポーツカーが▲0.9%(前月:+0.8%)と前月からマイナスに転じたほか、自動車・自動車部品が▲1.0%(前月:▲0.9%)と2ヵ月連続のマイナスとなって耐久財消費全体を押し下げた。

非耐久財ではガソリン・エネルギーが+4.2%(前月:+2.2%)と前月から伸びが加速した一方、食料・飲料が横這い(前月:+0.5%)と前月から伸びが鈍化したほか、衣料・靴が▲0.7%(前月:+1.0%)と前月からマイナスに転じた。

サービス消費は、住宅・公共料金が+0.4%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速したほか、医療サービスが+0.4%(前月:+0.4%)と前月並みの伸びを維持した。一方、輸送サービスが+0.9%(前月:+1.6%)、外食・宿泊が+0.5%(前月:+1.1%)、金融サービスが+0.7%(前月:+0.8%)と前月から伸びが鈍化したほか、娯楽サービスが▲0.1%(前月:+0.9%)と小幅ながら前月からマイナスに転じた。
(図表4)名目個人消費(前月比寄与度)/(図表5)個人消費支出(名目、実質)

5.価格指数

5.価格指数:エネルギー価格は前月比、前年同月比ともに物価を押し上げ

価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が+1.7%(前月:+0.8%)と2ヵ月連続でプラスとなったほか、前月からプラス幅が拡大した(図表6)。食料品価格指数は+0.5%(前月:+0.5%)とこちらは前月並みの伸びとなった。

前年同月比は、エネルギー価格指数が+2.7%(前月:▲0.1%)と8か月ぶりにプラスに転じた(図表7)。食料品価格指数は+2.4%(前月:+2.2%)と17年6月以降のプラスが継続したほか、前月から小幅ながら伸びが加速した。
(図表6)PCE価格指数(前月比)/(図表7)PCE価格指数(前年同月比)

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(2025年12月08日「経済・金融フラッシュ」)

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