2025年12月05日

インドの労働市場の現状と課題~量的拡大と質的停滞の狭間で~

経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

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■要旨
 
  1. インドでは人口増加で労働供給が拡大し、労働参加率の上昇や失業率の低下を背景に量的な雇用拡大が進んでいる。一方で非農業部門の雇用は十分に伸びず、非公式雇用の高止まりによって、生産性向上や所得改善といった質的側面の進展が遅れている。
     
  2. 女性の労働参加は農村部を中心に上昇したが、自営業や無償家族従業といった不安定な就業に集中している。教育水準が向上しても賃金雇用への移行は進まず、家族・社会の規範、通勤の安全や移動手段、保育サービス不足といった制約が質的改善を妨げている。
     
  3. 非農業部門の非公式雇用率は70~75%と高く、零細企業中心の産業構造や事業所規模に応じた制度適用の複雑さが公式化を難しくしている。定期賃金労働者でも社会保障加入率は低く、ギグワーカーも制度外に置かれやすいなど、雇用の脆弱性が固定化している。
     
  4. 政府は公共雇用、スキル開発、Make in India・PLI・ELI などの産業政策を通じ雇用拡大を進めてきた。しかしスキル習得後も非公式就業にとどまりやすく、産業政策の雇用吸収効果も分野間で偏りが残るなど、雇用の質的改善には一定の限界がみられる。
     
  5. 労働法典施行で制度基盤は整理されたが、州政府の運用体制が整わず実効性は限定的である。Aadhaar・e-Shram・NCSといったデジタル公共インフラが制度運用を支え、Shram Shakti NITI 2025はこれらを統合し、包摂的な労働市場形成の方向性を示している。


■目次

1.はじめに
2.労働市場の現状と構造変化
3.労働市場の構造的課題
4.政府の雇用政策と制度改革の動向
5.持続的な雇用拡大に向けた中長期的な方向性

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年12月05日「基礎研レポート」)

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

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