2025年12月05日

2026年度の年金額(見通し)は4年連続の増額だが実質目減りで将来に貢献-年金額改定の意義と2026年度以降の見通し(4)

保険研究部   主席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査部長 兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度全般、家計貯蓄行動

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■要旨

年金額は年度ごとに改定されている。2026年1月23日には、2026年度分の年金額が公表される見込みであり、物価上昇が続く中で、その動向が注目される。

本稿では、正式公表を理解するための準備として、別稿で確認した年金額改定のルールが2026年度以降の改定でどのように機能するかを展望した。その要点は、次のとおりである。
 
  • 2026年度の年金額は、2025年(暦年)の物価上昇を反映して、基礎年金(1階部分)が+1.9%の増額、厚生年金(2階部分)が+2.1%の増額、となる見込み。年金額の増額改定は、4年連続となる。
     
  • 他方で、現役世代の賃金の伸びが物価の伸びに追いついていない影響や、年金財政健全化のための給付調整(いわゆるマクロ経済スライド)が適用される影響で、年金額の伸びが物価の伸びに追いつかない状況が継続。
     
  • なお、2025年の法改正により厚生年金(2階部分)には軽減調整率が適用されるが、2026年度については、基礎年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)の改定率の差はわずか。
     
  • 2027年度以降についてはかなり不確実だが、実質賃金の低下やマクロ経済スライドによって、年金額の伸びが物価の伸びに追いつかない状況が続く見込み。
 
年金額の改定は、名目額が下がる場合に話題になることが多い。しかし、名目額が下がる際にはマクロ経済スライドが適用されず、年金財政の健全化は進まない。また、マクロ経済スライドによる年金額の目減りも生じない。直感的には理解しづらいが、近年のように名目額が上がる際や据置になる際にマクロ経済スライドが適用され、年金財政健全化の進展やマクロ経済スライドによる年金額の目減りが進むことを、理解しておく必要がある。

年金額の改定を機に、現役世代は、少子化や長寿化が進む中で負担する保険料(率)が固定され、高齢世代が物価や賃金の伸びを下回る年金の伸びを受け入れることで将来の給付水準の低下が抑えられることに、思いをはせる必要があるだろう。一方で高齢世代は、これまでの物価や賃金の伸びが低い状況では年金財政の健全化に必要な調整が先送りされ、将来の給付水準のさらなる低下につながっていたことを理解する必要があるだろう。両者の相互理解が進むことを期待したい。

■目次

1 ―― 本稿の問題意識:2026年度以降の年金額改定を展望する
2 ―― 改定に関係する指標の動向と見通し:物価は上昇が継続。賃金は前年の反動で大きめの上昇
3 ―― 年金改定率の見通し:現役世代の実質賃金下落と給付調整で、物価に対する目減りが継続
  1|2026年度分の改定率の粗い見通し
   :4年連続で増額だが、物価に対する目減りが進む見通し
  2|2026年度分の改定率(粗い見通し)のポイント
   :2つの要因で、物価に対する目減りが進行
  3|2027年度以降
   :実質賃金の低下やマクロ経済スライドで、物価の伸びを下回り続ける可能性
4 ―― 総括:物価上昇に一定程度対応しつつ、給付調整の実施で将来のさらなる目減りを抑制

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年12月05日「基礎研レポート」)

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