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2025年度の年金額は1.9%の増額だが、現役賃金より0.4%低い伸び-年金額改定の意義と2026年度以降の見通し(3)
保険研究部 主席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査部長 兼任 中嶋 邦夫
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年金額は年度ごとに改定されている。2025年度の年金額は、前年の物価上昇を受けて、+2.7%増額されたが、同時に、マクロ経済スライドによる調整(2025年度は-0.4%)により実質的には目減りとなっている。また、2026年1月には、2026年度分の年金額が公表される見込みであり、物価上昇が続く中で、その動向が注目される。
そこで本稿では、別稿で確認した年金額改定のルールが、2025年度分の改定でどのように機能したかを確認した。その要点は、次のとおりである。
- 本来の改定率の計算過程では、2024年(暦年)の物価上昇率が即時に反映された。
- 本来の改定率の計算に用いる実質賃金変動率は2~4年度前の平均であるため、3~2年度前のマイナスが4年度前のプラスで緩和された。
- 実質賃金変動率はマイナスとなり、67歳以下と68歳以上の本来の改定率がともに賃金変動率となった。
- 年金財政健全化のための調整率(いわゆるマクロ経済スライドの調整率)も2~4年度前の平均であるため、コロナ禍が年金額に与える影響を抑えられた。
- 本来の改定率が前年の物価上昇を反映して一定程度のプラスになったため、年金財政健全化のための調整率はすべて反映された。
- この結果、2025年度の調整後の改定率(実際に適用される改定率)は、67歳以下と68歳以上の双方で3年連続の増額になったが、調整率の適用により年金額は3年連続で目減りした。
本来の改定率の特例は現役世代とのバランスを取るための仕組みであり、マクロ経済スライドは少子化や長寿化に対応するための仕組みとは言え、公的年金が収入の大半を占める高齢世帯にとっては厳しい改定となった。現役世代の賃金の伸びも物価の伸びに追いついていない中ではあるが、年金額の伸びは賃金の伸びよりも低いことや、その原因は現役世代の保険料率を固定するために導入されたマクロ経済スライドにあることを、改めて認識する必要があるだろう。
■目次
1 ―― 本稿の問題意識:2025年度の年金額改定を理解する
2 ―― 本来の改定率:物価上昇を反映しつつ、現役世代の実質賃金低下も反映して+2.3%
1|概況:前年の物価上昇を反映しつつ、過去3年度平均の実質賃金の低下も反映
2|詳細:近年の実質賃金の低下の影響が、3年度平均の効果で緩和
3 ―― 年金財政健全化のための調整ルール(マクロ経済スライド):調整率をすべて反映
1|概況:本来の改定率が一定程度のプラスとなったため、調整率をすべて反映
2|詳細:加入者増加率は、2021年度はマイナスだが、3年度平均により影響が緩和
4 ―― 総括:物価変動を早期に反映する仕組みと賃金や加入者の変動を平準化する仕組みが奏功。
ただし、年金額の伸びが物価の伸びや賃金の伸びを下回る点には再認識が必要
(2025年12月03日「基礎研レポート」)
03-3512-1859
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
中嶋 邦夫のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
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| 2025/11/19 | 年金額改定の本来の意義は実質的な価値の維持-年金額改定の意義と2026年度以降の見通し(1) | 中嶋 邦夫 | 基礎研レポート |
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