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- 生成AIと著作権-利用と権利保護の両立にむけて
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2025年12月03日
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■要旨
本稿は生成AIの開発・利用の著作権法上の問題を検討する。新聞や画像など著作物には知的財産権が生じ、私的利用などの場合を除きその複製には著作者の許諾が必要となるのが原則である。
著作権法では現代のIT技術の進展を踏まえて、著作物の「享受」を目的としない情報解析目的の複製に関しては、その複製が著作者の権利を不当に害する場合を除き、著作者の権利が及ばない(権利制限)としている(30条の4)。また、仮に解析目的の複製・結果提供に「享受」目的があったとしても、著作者の不利益が「軽微」と言える場合にも著作者には権利制限となる(47条の5)。
生成AIの構築に向けて、開発者は著作物を含む学習データをAIモデルに読み込ませる作業を行う。この作業は通常、情報解析目的であり、かつ一般には「享受」目的がないため30条の4に従い権利制限となる。また、生成物に学習データが一定程度反映される可能性があるが、この場合は47条の5の「軽微」基準を満たすかが問題となる。ただし、開発者が既存の著作物の表現内容を出力することを目的とする場合には、「軽微」基準を満たさず、著作権侵害となる。
利用者がプロンプト入力にあたって、既存の著作物の複製を出力することを目的とする場合には複製権の侵害に該当する。学習データに既存の著作物が含まれているが、利用者が既存の著作物を知らず、たまたま同一の生成物が出力されてしまったようなケースにおいても著作者の権利侵害となる。ただし、この場合は、利用者に故意・過失がないので、差止請求のみが認められ、損害賠償請求は認められない。
■目次
1――はじめに
2――生成AIの学習の仕組み
3――著作権法
1|総論
2|著作者の権利および権利制限
3|生成AIに関連する著作権法の規定
4――開発者の開発・学習行為と著作権法
1|基盤モデル構築のための事前学習
2|生成AIモデル構築のための追加学習
3|作風
4|検索拡張生成(RAG)
5――開発者の開発・学習行為と著作者の利益を不当に害する場合
1|総論
2|データベースの著作物
3|著作者による複製防止技術の適用
4|海賊版等の複製
6――侵害行為に対する措置
1|総論
2|差止請求
3|損害賠償請求
4|利用者が責任主体となる場合
5|規範的行為主体論
7――生成物の著作物性
8――検討
9――おわりに
本稿は生成AIの開発・利用の著作権法上の問題を検討する。新聞や画像など著作物には知的財産権が生じ、私的利用などの場合を除きその複製には著作者の許諾が必要となるのが原則である。
著作権法では現代のIT技術の進展を踏まえて、著作物の「享受」を目的としない情報解析目的の複製に関しては、その複製が著作者の権利を不当に害する場合を除き、著作者の権利が及ばない(権利制限)としている(30条の4)。また、仮に解析目的の複製・結果提供に「享受」目的があったとしても、著作者の不利益が「軽微」と言える場合にも著作者には権利制限となる(47条の5)。
生成AIの構築に向けて、開発者は著作物を含む学習データをAIモデルに読み込ませる作業を行う。この作業は通常、情報解析目的であり、かつ一般には「享受」目的がないため30条の4に従い権利制限となる。また、生成物に学習データが一定程度反映される可能性があるが、この場合は47条の5の「軽微」基準を満たすかが問題となる。ただし、開発者が既存の著作物の表現内容を出力することを目的とする場合には、「軽微」基準を満たさず、著作権侵害となる。
利用者がプロンプト入力にあたって、既存の著作物の複製を出力することを目的とする場合には複製権の侵害に該当する。学習データに既存の著作物が含まれているが、利用者が既存の著作物を知らず、たまたま同一の生成物が出力されてしまったようなケースにおいても著作者の権利侵害となる。ただし、この場合は、利用者に故意・過失がないので、差止請求のみが認められ、損害賠償請求は認められない。
■目次
1――はじめに
2――生成AIの学習の仕組み
3――著作権法
1|総論
2|著作者の権利および権利制限
3|生成AIに関連する著作権法の規定
4――開発者の開発・学習行為と著作権法
1|基盤モデル構築のための事前学習
2|生成AIモデル構築のための追加学習
3|作風
4|検索拡張生成(RAG)
5――開発者の開発・学習行為と著作者の利益を不当に害する場合
1|総論
2|データベースの著作物
3|著作者による複製防止技術の適用
4|海賊版等の複製
6――侵害行為に対する措置
1|総論
2|差止請求
3|損害賠償請求
4|利用者が責任主体となる場合
5|規範的行為主体論
7――生成物の著作物性
8――検討
9――おわりに
(2025年12月03日「基礎研レポート」)
03-3512-1866
経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2024年4月 専務取締役保険研究部研究理事
2025年4月 取締役保険研究部研究理事
2025年7月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
松澤 登のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/12/03 | 生成AIと著作権-利用と権利保護の両立にむけて | 松澤 登 | 基礎研レポート |
| 2025/11/19 | EU、Googleへの調査開始-Google検索についてDMA違反の可能性 | 松澤 登 | 研究員の眼 |
| 2025/11/13 | マンダムの大規模買付けに関する対応方針の導入 | 松澤 登 | 研究員の眼 |
| 2025/11/06 | Meta、ByteDanceのDSA違反の可能性-欧州委員会による暫定的見解 | 松澤 登 | 研究員の眼 |
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