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コラム
2025年11月27日
高市新政権の真価が問われるのは経済対策よりも当初予算
03-3512-1836
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■要旨
高市新政権は「強い経済」の構築を掲げ、一般会計歳出規模17.7兆円の補正予算を伴う総合経済対策を閣議決定した。政府は対策による実質GDPの押し上げ効果を1.4%(今後3年程度)と試算するが、補正予算が毎年恒常化している現状では追加的な押し上げ効果は限定的と考えられる。
補正予算は場当たり的になりやすく、緊急性が低く当初予算に盛り込むべき事業が押し込まれる事例も散見される。近年は予算が消化しきれない非効率性も問題となっている。本来は、十分な規模の当初予算を編成し、補正予算は景気の急速な悪化や自然災害など緊急時に限定すべきである。
今回の経済対策には2026年度税制改正で検討される基礎控除の物価連動引き上げやNISA拡充などが含まれ、これらは当初予算に反映されて初めて実現する。したがって、高市政権の真価が問われるのは経済対策よりも来年度(2026年度)当初予算である。
■目次
・高市新政権は前年を上回る規模の経済対策を策定
・年中行事になった経済対策
・当初予算が試金石
高市新政権は「強い経済」の構築を掲げ、一般会計歳出規模17.7兆円の補正予算を伴う総合経済対策を閣議決定した。政府は対策による実質GDPの押し上げ効果を1.4%(今後3年程度)と試算するが、補正予算が毎年恒常化している現状では追加的な押し上げ効果は限定的と考えられる。
補正予算は場当たり的になりやすく、緊急性が低く当初予算に盛り込むべき事業が押し込まれる事例も散見される。近年は予算が消化しきれない非効率性も問題となっている。本来は、十分な規模の当初予算を編成し、補正予算は景気の急速な悪化や自然災害など緊急時に限定すべきである。
今回の経済対策には2026年度税制改正で検討される基礎控除の物価連動引き上げやNISA拡充などが含まれ、これらは当初予算に反映されて初めて実現する。したがって、高市政権の真価が問われるのは経済対策よりも来年度(2026年度)当初予算である。
■目次
・高市新政権は前年を上回る規模の経済対策を策定
・年中行事になった経済対策
・当初予算が試金石
(高市新政権は前年を上回る規模の経済対策を策定)
10/21に就任した高市早苗首相は、「強い経済」を構築するための「責任ある積極財政」を掲げ、11/21には、(1)生活の安全保障・物価高への対応、(2)危機的管理投資・成長投資による強い経済の実現、(3)防衛力と外交力の強化、を柱とした経済対策(「強い経済」を実現する総合経済対策)を閣議決定した。
経済対策の裏付けとなる補正予算の規模は一般会計歳出で17.7兆円となり、2024年度の経済対策の規模(13.9兆円)を上回る。補正予算の規模の大きさに対し、財政の信認が損なわれるとの批判もあるが、石破政権時に編成された2025年度当初予算の規模は「2024年度当初予算+補正予算」を下回っている(図表1)。2025年度の補正予算が2024年度の規模を下回れば、実質的な緊縮財政となり、「責任ある積極財政」が看板倒れになってしまう恐れもある。歳出規模が前年度を上回るのはある意味必然とも言える。一方、経済対策の中身については、物価高対策(2024年度は電気・ガス代、ガソリン、灯油等への補助金、2025年度は電気・ガス代への補助金、ガソリン暫定税率の廃止)、家計への給付金(2024年度は低所得世帯への給付金、2025年度は子育て世帯への給付)、中小企業の支援策など2024年度との共通点も多く、必ずしも高市政権の独自色が出ているとは言えない面がある。
(年中行事になった経済対策)
政府は今回の経済対策による実質GDPの押し上げ効果を1.4%程度(今後3年程度)と試算しているが、この試算は過大と考えられる。政府の試算は経済対策とそれに伴う補正予算がなかった場合をベースとしているが、実際には毎年のように経済対策を目的とした補正予算が編成されている。追加的な押し上げ効果はそれほど大きくないと考えたほうが妥当だ。
近年は、経済情勢にかかわらず、年中行事のように経済対策が策定され、大型補正予算の編成が常態化している。しかし、このような予算編成のやり方には問題が多い。まず、短期間でまとめなければならない補正予算では事業の選択が場当たり的なものとなりやすい。補正予算はまず全体の歳出規模ありきとなりがちなので、無駄な支出につながりやすい。近年の補正予算の中には、必ずしも緊急性が高いとはいえず、本来は当初予算に盛り込むべき事業を押し込むような事例も散見される。
近年は、経済情勢にかかわらず、年中行事のように経済対策が策定され、大型補正予算の編成が常態化している。しかし、このような予算編成のやり方には問題が多い。まず、短期間でまとめなければならない補正予算では事業の選択が場当たり的なものとなりやすい。補正予算はまず全体の歳出規模ありきとなりがちなので、無駄な支出につながりやすい。近年の補正予算の中には、必ずしも緊急性が高いとはいえず、本来は当初予算に盛り込むべき事業を押し込むような事例も散見される。
(当初予算が試金石)
筆者は、補正予算は景気の急速な悪化や自然災害の発生など、緊急性の高い場合に限って編成すべきと考えている。逆に言えば、不測の事態が起きない限り補正予算が不要な金額を当初予算の段階で確保しておくことが望ましい。確かに、当初予算の規模を拡大すると、財政健全化の放棄と受け取られるリスクはある。しかし、重要なのは当初予算で見かけ上の財政を健全化することではない。当初予算の規模が拡大しても、無駄な補正予算の編成をなくすことができれば、「責任ある積極財政」と評価されるのではないか。
今回の経済対策の中には、2026年度税制改正で検討し、結論を得るとされている項目が含まれている。たとえば、「基礎控除を物価に連動した形で更に引き上げる税制措置」、「NISA対象商品の拡充を含む制度の充実」、「大胆な設備投資税制の創設」などである。これらの政策は、これから行われる税制改正における結論を受けて2026年度の当初予算に反映されることによって初めて実現する。まずは、これから議論が本格化する2026年度税制改正でどのような結論が出るかが注目される。
本来、補正予算は緊急対応の性質が強いのに対し、当初予算は政策運営の根幹を示すもので、重要度はより高い。高市政権の真価が問われるのは、今回の経済対策よりもむしろ来年度(2026年度)の当初予算だ。
今回の経済対策の中には、2026年度税制改正で検討し、結論を得るとされている項目が含まれている。たとえば、「基礎控除を物価に連動した形で更に引き上げる税制措置」、「NISA対象商品の拡充を含む制度の充実」、「大胆な設備投資税制の創設」などである。これらの政策は、これから行われる税制改正における結論を受けて2026年度の当初予算に反映されることによって初めて実現する。まずは、これから議論が本格化する2026年度税制改正でどのような結論が出るかが注目される。
本来、補正予算は緊急対応の性質が強いのに対し、当初予算は政策運営の根幹を示すもので、重要度はより高い。高市政権の真価が問われるのは、今回の経済対策よりもむしろ来年度(2026年度)の当初予算だ。
(2025年11月27日「研究員の眼」)
03-3512-1836
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