- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 資産運用・資産形成 >
- 資産運用 >
- 金融正常化と国内債券インデックスのパフォーマンス
2025年12月03日
金融正常化と国内債券インデックスのパフォーマンス
03-3512-1848
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
NOMURA-BPI(総合)の指数値が2013年4月時点を下回る水準に戻った直接的な要因は金利上昇である。しかし、この期間に生じたインカム・リターンの低下(1.28%→1.01%)や修正デュレーションの上昇(7.63→8.15)の影響を無視できない。低金利下では低クーポン債の発行が続いたため、インカム・リターンは以前の水準を回復しておらず、金利感応度を示す修正デュレーションの水準も高い。今回の局面で特徴的だったのは、国債市場において指数のピーク時と比較して短期金利よりも長期・超長期金利の上昇幅が大きく、量的・質的金融緩和導入時よりもベアスティープ化が進行した点である(図表2)。金融正常化の過程で短期金利の上昇は緩やかであったものの、財政拡張リスクへの懸念などから長期・超長期ゾーンの上昇幅が大きく、長期債および超長期債を中心に価格調整が広範に及んだ。その結果、長期・超長期金利上昇に伴うキャピタル・リターンの悪化が、累積的に獲得してきたインカム・リターンを上回り、国内債券インデックスのパフォーマンスを大きく押し下げる要因となった。
今回の金融正常化は、国内債券市場における市場機能の観点からも転換点となっている。日銀による国債買い入れの減額ペースの縮小や、財務省による超長期債発行年限の再調整などの対応策に象徴されるように、特に超長期ゾーンでは従来よりも金利変動幅が大きくなった。国債市場では、これまで日銀に依存していた需給のゆがみへの対応が、市場参加者の取引へと徐々に委ねられた結果、価格発見機能は回復しつつあるが、ボラティリティも高まっている。
今回の金融正常化は、国内債券市場における市場機能の観点からも転換点となっている。日銀による国債買い入れの減額ペースの縮小や、財務省による超長期債発行年限の再調整などの対応策に象徴されるように、特に超長期ゾーンでは従来よりも金利変動幅が大きくなった。国債市場では、これまで日銀に依存していた需給のゆがみへの対応が、市場参加者の取引へと徐々に委ねられた結果、価格発見機能は回復しつつあるが、ボラティリティも高まっている。
金利変化が市場参加者に与える影響は、上昇と低下で非対称である。金利低下局面では、利ざや縮小や再投資利回りの低下によって収益は圧迫されるものの、含み益が資本を下支えしてきた。しかし金利上昇局面では、保有債券の評価損が顕在化し、預金取扱金融機関や生命保険などの市場参加者に対して、金融規制面での影響も生じる。特に超長期債の保有比率が高い長期投資家では、損失の振れ幅が大きくなり、金利変動への耐性が試される。
もっとも、教科書的な説明になるが、「金利上昇=損失」という単純な構図で理解すべきではない。債券インデックス運用の本質に立ち返れば、一時的なキャピタル・リターンよりも、長期的なインカム・リターンの積み上げこそが運用成果を左右する。むしろ金融正常化は、長らく失われていたインカム・リターンの回復を意味し、債券が本来有していた安定的な利息収益資産としての機能を取り戻す契機となっている。金融正常化により、新発債のクーポン水準が上昇し、国内債券ポートフォリオ全体の利回りが徐々に引き上げられる過程において、中長期的なトータルリターンは改善に向かう可能性が高い。
株式市場との関係においても再評価の余地がある。低金利環境下では、債券利回りが株式の配当利回りを大きく下回り、利回り獲得の観点から債券の「分散投資としての魅力」は低下していた。また、高インフレ環境下では、名目金利の上昇を伴って、世界的に株式と債券のリターンが資産価格の下落方向に順相関を示す時期もあった。しかし、世界的なインフレ環境が落ち着きを見せると、債券は再び株式市場のボラティリティを和らげるヘッジ資産としての役割を取り戻すだろう。年金運用において、債券はリターン源泉であると同時に、リスク低減の安定装置でもある。金利上昇局面の痛みは、その再構築のコストである。むしろ、インカム・リターンの回復を通じて、年金運用の収益基盤は再び厚みを取り戻すことができる。債券市場の「正常化」は、長期投資家にとっての再出発点であり、リスクと収益の均衡を見直す契機である。
もっとも、教科書的な説明になるが、「金利上昇=損失」という単純な構図で理解すべきではない。債券インデックス運用の本質に立ち返れば、一時的なキャピタル・リターンよりも、長期的なインカム・リターンの積み上げこそが運用成果を左右する。むしろ金融正常化は、長らく失われていたインカム・リターンの回復を意味し、債券が本来有していた安定的な利息収益資産としての機能を取り戻す契機となっている。金融正常化により、新発債のクーポン水準が上昇し、国内債券ポートフォリオ全体の利回りが徐々に引き上げられる過程において、中長期的なトータルリターンは改善に向かう可能性が高い。
株式市場との関係においても再評価の余地がある。低金利環境下では、債券利回りが株式の配当利回りを大きく下回り、利回り獲得の観点から債券の「分散投資としての魅力」は低下していた。また、高インフレ環境下では、名目金利の上昇を伴って、世界的に株式と債券のリターンが資産価格の下落方向に順相関を示す時期もあった。しかし、世界的なインフレ環境が落ち着きを見せると、債券は再び株式市場のボラティリティを和らげるヘッジ資産としての役割を取り戻すだろう。年金運用において、債券はリターン源泉であると同時に、リスク低減の安定装置でもある。金利上昇局面の痛みは、その再構築のコストである。むしろ、インカム・リターンの回復を通じて、年金運用の収益基盤は再び厚みを取り戻すことができる。債券市場の「正常化」は、長期投資家にとっての再出発点であり、リスクと収益の均衡を見直す契機である。
(2025年12月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1848
新着記事
-
2026年01月23日
2026年の消費~緩やかな改善傾向のもとで進む「使い方」と「選び方」の変化 -
2026年01月23日
米個人所得・消費支出(25年10、11月)-10月以降も堅調な個人消費を確認 -
2026年01月23日
消費者物価(全国25年12月)-コアCPI上昇率は26年2月に2%割れの公算 -
2026年01月22日
省庁再編から25年など節目の年に考える社会保障改革論議-スピーディーな意思決定や縦割り打破に成果、政策形成に歪みも -
2026年01月22日
米国における日系企業の団体医療保険活用状況調査結果
お知らせ
-
2025年12月16日
News Release
令和7年度 住宅ストック維持・向上促進事業「良質住宅ストック形成のための市場環境整備促進事業」に関するシンポジウムの開催
-
2025年12月01日
News Release
-
2025年12月01日
News Release
【金融正常化と国内債券インデックスのパフォーマンス】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
金融正常化と国内債券インデックスのパフォーマンスのレポート Topへ











