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コラム
2025年11月12日

インデックス型外株で流入加速~2025年10月の投信動向~

金融研究部 主任研究員 前山 裕亮

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■要旨

外国株式ファンドへの資金流入が10月に鈍化したが、新NISAの中心商品となっているインデックス型に限ると堅調であった。

■目次

外国株式ファンドへの流入が鈍化
一部のアクティブ型で利益確定売り
インデックス型への資金流入は4月以降で最大に
新規設定だけでない国内株式ファンド
半導体関連などのテーマ型が特に好調
 

外国株式ファンドへの流入が鈍化

外国株式ファンドへの流入が鈍化

2025年10月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入を見ると、10月も外国株式ファンドに7,800億円の資金流入があり、引き続き投信販売をけん引した【図表1】。
 
ただし、外国株式ファンドの資金流入は2025年で最少となった7月の4,200億円から8月7,000億円、9月9,600億円と回復基調にあったが、10月は9月から1,800億円減少した。この鈍化の主な要因は、外国株式ファンドの中で一般販売されているアクティブ型への資金流入が600億円にとどまり、9月の2,900億円から急減したことがあげられる。
【図表1】 2025年10月の日本籍追加型株式投信(除くETF)の推計資金流出入

一部のアクティブ型で利益確定売り

一部のアクティブ型で利益確定売り

一般販売されているアクティブ型の外国株式ファンドの資金流入鈍化の背景には、10月に毎月分配型でないファンドの売却が膨らんだことがある。毎月分配型以外の外国株式ファンドからの資金流出は8月、9月と収まっていたが、10月に再び2,000億円と7月並みにまで増加した【図表2】。

10月も世界的に株価の上昇基調が続き、しかも月初に1ドル148円台だったのが月末には154円を超えるなど1か月で5円以上も円安が進行した。そのような投資環境の中で外国株式ファンドは、基準価額が一段と上昇するものが為替ヘッジしていないものを中心に多かった。そのため、10月は利益確定の売却が増えたと考えられる。
【図表2】 一般販売されている外国株式ファンドの資金流出入
その一方で、毎月分配型の外国株式ファンドの販売は底堅かった様子である。3月まで大人気だった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D毎月(ヘッジなし)予想分配金提示」は7月以来の売却超過となるなど、米国株式ものに限ると販売は冴えなかった。それでも人気の3本【図表3:赤太字】を中心に2,600億円の資金流入があり、9月の2,800億円と比べるとやや減少こそしたがほぼ同規模となった。
【図表3】 2025年10月の推計純流入ランキング

インデックス型への資金流入は4月以降で最大に

インデックス型への資金流入は4月以降で最大に

さらに、一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドには、10月に6,700億円の資金流入があり、9月の5,800億円から900億円増加した。米関税政策の動向で世界的に株式市場が右往左往した4月以降で最大となった。10月は、特に人気の2本【図表3:青太字】を中心に米国株式ものの流入増加が顕著であった。アクティブ型と異なりインデックス型では、米国株式ものへの資金流入の回復基調が続いている。
 
足元では米国株式、特に米ハイテク株式の過熱感が懸念されているが、1990年前後の日本株式のような異常な割高感はない。そのため外国株式ファンドはいつ調整してもおかしくない状況ではあるが、調整したとしても短期的に終わる可能性が高い。過度に調整を恐れて投資を控える、さらには保有しているファンドを売却すると、結果的に機会損失となる場合もある。長期投資であるならば、足元の過熱感を過度に気にする必要は乏しいと思われる。
 
このように10月は一部で利益確定の売却が膨らんだが、新NISAの中心商品であるインデックス型を中心に外国株式ファンド全体で見ると堅調であった。そのことを踏まえると、NISA口座を積極的に活用していることや長期投資傾向が高まっていることが期待されるだろう。ただし、毎月分配型の外国株式ファンドについては高分配金のファンドが売れているだけに、高パフォーマンスに伴う高分配が人気を集めているだけの可能性もあるだろう。
 
なお、外国株式ファンド以外でもバランス型ファンドでは資金流入が10月から鈍化した。外国REITファンド、外国債券ファンド、国内REITファンド、国内債券ファンドでは、一般販売されているものに限ると資金流出が継続、もしくは純流出に転じるなど販売は冴えなかった。

新規設定だけでない国内株式ファンド

新規設定だけでない国内株式ファンド

その一方で、国内株式ファンドでは900億円の資金流入と流入超過に転じた。あくまでも10月に新規設定された「野村日本バリュー厳選投資」1本で1,100億円強の資金を集めたことが大きく、既存の国内株式ファンドに限ると流出超過が継続していた。10月は月間で日経平均株価が17%、TOPIXでも6%と大きく上昇し、国内株式ファンドでも利益確定の売却が出やすい状況であった。その割には、一般販売されているインデックス型では流入額こそ100億円に満たなかったが4月以来となる流入超過に転じるなど、10月に資金流出が膨らまなかった面もある。
 
国内株式ファンド、特にインデックス型で10月に資金流出が膨らまなかった要因として、まず逆張り投資の苦境がある。4月中旬以降、国内株式が概ね右肩上がりで上昇したこともあり、7月以降、国内株式ファンドは売却が減少基調となっており、売却が一巡してきていた。さらに株価自体が高水準であっても一時的に下落したタイミングで押し目買いを入れる様子もあり、買付は6月から増加基調であった。
 
それに加えて、新NISAなどからの長期投資目的の買付も増えている可能性もあるだろう。一般販売されているインデックス型の国内株式ファンドをTOPIX連動のものに限ると、8月以降、資金流入が続き、特に10月は300億円弱の資金流入があった。
 
国内株式ファンド以外に金関連ファンドも10月に資金流入が増えた。さらにSMA専用ファンド全体に2,700億円の資金流入と9月引き続き大規模流入があったこともあり、ファンド全体でみると1兆2,500億円と9月の1兆3,400億円から小幅な減少にとどまった。

半導体関連などのテーマ型が特に好調

半導体関連などのテーマ型が特に好調

10月は世界的に株価が上昇する中、半導体関連などのハイテク系のテーマ型の株式ファンドの中で月間の収益率が20%を超えるような高パフォーマンスを上げるものがあった【図表4】。
【図表4】 2025年10月の高パフォーマンス・ランキング

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年11月12日「研究員の眼」)

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金融研究部   主任研究員

前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ)

研究・専門分野
株式市場・投資信託・資産運用全般

経歴
  • 【職歴】
    2008年 大和総研入社
    2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
    2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
    2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
    2022年7月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)

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