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- なぜ、韓国では新規感染者数が増加し続けているのか?
2022年02月08日
徹底的な検査や隔離による「K防疫」を誇っていた韓国でなぜ新規感染者数が増え続けることになっただろうか。まず、最初の原因として考えられるのが接種された新型コロナワクチンの種類だ。新型コロナワクチンの確保に出遅れた韓国政府は、2021年2月3日にファイザー社製のワクチンを特例承認(正式に承認されるまでには医療従事者に限って接種が行われた。正式承認は3月5日)し、その後2月10日にはアストラゼネカ社製のワクチンを、続いて4月7日にはヤンセンファーマ社製のワクチンを、そして5月21日にはモデルナ社製のワクチンを次々と承認した。
その結果、2月26日から始まった新型コロナワクチンの接種は高齢者を対象にアストラゼネカ社製のワクチンが接種されることになった。その後、ファイザー社製やモデルナ社製の供給が増えたことにより、アストラゼネカ社やヤンセンファーマ社製の接種は大きく減少したものの、2021年11月23日時点の1次接種者のうちアストラゼネカ社製やヤンセンファーマ社製のワクチンを接種した人はそれぞれ11,116,361人(26.3%)と1,497,303人(3.5%)に達し、全体の約30%を占めた。
厚生労働省のホームページでは、ファイザー社製やモデルナ社製の新型コロナワクチンの発症予防効果はそれぞれ約95%と約94%と、アストラゼネカ社製のワクチンの約70%より高い効果があると紹介している。また、アストラゼネカ社製のワクチンは他のワクチンに比べて感染を防ぐ中和抗体の減少が速いことが指摘されている。
この点を参考にすると、日本ではファイザー社製やモデルナ社製を中心に接種が行われたことに対して、韓国ではアストラゼネカ社製とヤンセンファーマ社製の接種者の割合が約3割を占めていることが2021年11月と12月における日韓の新規感染者の差に影響を与えたのではないかと推測される。
そして、二番目の原因としては、韓国政府が、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために続けてきた厳しい行動制限を大きく緩和したことが挙げられる。韓国政府は10月末時点で1日の新規感染者数は依然1,500~2,200人に達していたにもかかわらず、ワクチンの接種完了率が70%を超えたのをきっかけに、経済活動を優先させる方向にコロナ対策を切り替え、2021年11月1日から第1段階の行動制限緩和策を実施した。
新たな対策では午後10時までとしていた飲食店の店内営業時間の規制を撤廃したほか、屋外スポーツイベントの観客も定員の50%まで入場できるように緩和した。また、ワクチン接種を条件に最大8人に制限していた私的な集まりも、ワクチン接種の有無に関係なく首都圏では最大10人まで、非首都圏では最大12人まで許容することを決めた。このように行動制限を大きく緩和したことが原因となっているのか、新規感染者数は未だにじわじわと増加し続けている状況だ。
最後に筆者が考える3番目の原因は、韓国の気温が日本より低い点だ。新規感染者が最も多く発生しているソウルの2021年10月と11月の平均最低気温はそれぞれ11.6度と4.4度で、同じ時期の東京の平均最低気温15.2度と8.3度を大きく下回る。韓国では2020年も気温が下がる11月中旬から新規感染者が増加しはじめ、クリスマスに新規感染者数がピークに達した経験がある。
韓国政府は新型コロナウイルスのさらなる拡大を防ぐため、( 1)ファイザー製やモデルナ製のワクチンを中心に2021年11月から3回目の接種を実施すると共に(2022年1月13日現在の接種率は43.1%)、( 2)飲食店の営業時間の短縮や人数制限、防疫パス義務適用施設の拡大など規制を強化した。
以上のような韓国の事例を参考すると、日本でもより早く3回目の接種を行う必要があるかも知れない(2022年1月13日現在の接種率は0.8%)。さらに、人々の気の緩みを最大限抑制することにも努めながら、新型コロナウイルスに対応していく必要があるだろう。
その結果、2月26日から始まった新型コロナワクチンの接種は高齢者を対象にアストラゼネカ社製のワクチンが接種されることになった。その後、ファイザー社製やモデルナ社製の供給が増えたことにより、アストラゼネカ社やヤンセンファーマ社製の接種は大きく減少したものの、2021年11月23日時点の1次接種者のうちアストラゼネカ社製やヤンセンファーマ社製のワクチンを接種した人はそれぞれ11,116,361人(26.3%)と1,497,303人(3.5%)に達し、全体の約30%を占めた。
厚生労働省のホームページでは、ファイザー社製やモデルナ社製の新型コロナワクチンの発症予防効果はそれぞれ約95%と約94%と、アストラゼネカ社製のワクチンの約70%より高い効果があると紹介している。また、アストラゼネカ社製のワクチンは他のワクチンに比べて感染を防ぐ中和抗体の減少が速いことが指摘されている。
この点を参考にすると、日本ではファイザー社製やモデルナ社製を中心に接種が行われたことに対して、韓国ではアストラゼネカ社製とヤンセンファーマ社製の接種者の割合が約3割を占めていることが2021年11月と12月における日韓の新規感染者の差に影響を与えたのではないかと推測される。
そして、二番目の原因としては、韓国政府が、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために続けてきた厳しい行動制限を大きく緩和したことが挙げられる。韓国政府は10月末時点で1日の新規感染者数は依然1,500~2,200人に達していたにもかかわらず、ワクチンの接種完了率が70%を超えたのをきっかけに、経済活動を優先させる方向にコロナ対策を切り替え、2021年11月1日から第1段階の行動制限緩和策を実施した。
新たな対策では午後10時までとしていた飲食店の店内営業時間の規制を撤廃したほか、屋外スポーツイベントの観客も定員の50%まで入場できるように緩和した。また、ワクチン接種を条件に最大8人に制限していた私的な集まりも、ワクチン接種の有無に関係なく首都圏では最大10人まで、非首都圏では最大12人まで許容することを決めた。このように行動制限を大きく緩和したことが原因となっているのか、新規感染者数は未だにじわじわと増加し続けている状況だ。
最後に筆者が考える3番目の原因は、韓国の気温が日本より低い点だ。新規感染者が最も多く発生しているソウルの2021年10月と11月の平均最低気温はそれぞれ11.6度と4.4度で、同じ時期の東京の平均最低気温15.2度と8.3度を大きく下回る。韓国では2020年も気温が下がる11月中旬から新規感染者が増加しはじめ、クリスマスに新規感染者数がピークに達した経験がある。
韓国政府は新型コロナウイルスのさらなる拡大を防ぐため、( 1)ファイザー製やモデルナ製のワクチンを中心に2021年11月から3回目の接種を実施すると共に(2022年1月13日現在の接種率は43.1%)、( 2)飲食店の営業時間の短縮や人数制限、防疫パス義務適用施設の拡大など規制を強化した。
以上のような韓国の事例を参考すると、日本でもより早く3回目の接種を行う必要があるかも知れない(2022年1月13日現在の接種率は0.8%)。さらに、人々の気の緩みを最大限抑制することにも努めながら、新型コロナウイルスに対応していく必要があるだろう。
03-3512-1825
(2022年02月08日「基礎研マンスリー」)
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