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- コロナ禍でテレワークが増えたのはどんな人か? (2)-属性別のテレワーク頻度の変化:雇用形態/職種別
2021年10月14日
1――はじめに
コロナ禍でのテレワークの拡大状況は、属性によってどのように異なるのか。本稿では、ニッセイ基礎研究所が実施した独自のWEBアンケート調査1を用いて、5回にわたる基礎研レターで、2020年2月から2021年2月の間のテレワークの頻度の変化を、様々な属性別に確認した結果を紹介するうちの2回目として、雇用形態と職種別のテレワーク頻度の変化について確認した結果を紹介する。
1 「2021年被用者の働き方と健康に関する調査」、2021年2月-3月に、18歳-64歳の被用者を対象として行われたWEBアンケート調査(n=5,808)。調査方法や対象の詳細は、岩﨑敬子, 2021年10月13日, 「コロナ禍でテレワークが増えたのはどんな人か? (1) 属性別のテレワーク頻度の変化:企業の規模/産業分類別」基礎研レター (https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=69031?site=nli) を参照。
1 「2021年被用者の働き方と健康に関する調査」、2021年2月-3月に、18歳-64歳の被用者を対象として行われたWEBアンケート調査(n=5,808)。調査方法や対象の詳細は、岩﨑敬子, 2021年10月13日, 「コロナ禍でテレワークが増えたのはどんな人か? (1) 属性別のテレワーク頻度の変化:企業の規模/産業分類別」基礎研レター (https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=69031?site=nli) を参照。
2――雇用形態別のコロナ禍のテレワーク頻度の変化
雇用形態別にコロナ禍のテレワークの頻度の分布の変化を示したのが図1である。正社員の人で、2020年2月時点で月に1日以上のテレワークを行っていた人の割合は、約16%であったが、2021年2月時点では約31%に上昇した。契約/派遣社員の人で、2020年2月の時点で、月に1日以上のテレワークを行っていた人の割合は、約9%で、2021年2月の時点では、約20%に上昇した。そして、公務員の人で、2020年2月時点で月1日以上のテレワークを行っていた人の割合は、約27%で、2021年の2月時点では、約37%に上昇した。雇用形態別に見ると、2021年2月の時点で、月に1回以上のテレワークを行っている人の割合は公務員が最も大きく、契約/派遣社員が最も小さい傾向がみられる。
3――職種別のコロナ禍のテレワーク頻度の変化
次に、職種別のコロナ禍のテレワークの頻度の分布の変化を示したのが、図2である。2021年2月時点で、月1回以上のテレワークを行っている人の割合が最も大きい職種は、管理職で、約51%であった。2020年の2月時点では、管理職の人の間で月1回以上のテレワークを行っている人の割合は、約24%であったことから、コロナ禍で大きく増加したことが分かる。
2021年2月時点で、管理職の次にテレワークを行っている人の割合が大きい職種は、技術系専門職であった。技術系専門職は、研究開発、設計、SE等に携わる人を示している。2021年2月時点で、技術系専門職の人の間で、月1回以上のテレワークを行っている人の割合は、約50%であった。2020年2月時点では約22%であったことから、こちらもコロナ禍で大きく増加したことが分かる。
管理職、技術系専門職の他にも、事務職(一般事務、コールセンター、受付等)、事務系専門職(市場調査、財務、秘書等)、営業職の間でもそれぞれ、2020年2月から2021年2月の間にテレワークを行う人の割合が増加したことが分かる。
一方で、テレワークの頻度はコロナ禍でほとんど変わっていない職種も多数ある。選択肢にある職種のうち、2021年の2月時点で、月に1回以上のテレワークを行う人の割合が最も小さい職種は、生産・技能職と運輸・通信職でどちらも約9%であった。生産・技能職の2020年2月時点で、月に1回以上のテレワークを行う人の割合は約7%で、運輸・通信職では、約8%であったことから、これらの職種の間では、ほとんど増加していないことが分かる。この他にも、医療福祉・教育関係の専門職、販売職、接客サービス職では、テレワークはあまり拡大していないようだ。
2021年2月時点で、管理職の次にテレワークを行っている人の割合が大きい職種は、技術系専門職であった。技術系専門職は、研究開発、設計、SE等に携わる人を示している。2021年2月時点で、技術系専門職の人の間で、月1回以上のテレワークを行っている人の割合は、約50%であった。2020年2月時点では約22%であったことから、こちらもコロナ禍で大きく増加したことが分かる。
管理職、技術系専門職の他にも、事務職(一般事務、コールセンター、受付等)、事務系専門職(市場調査、財務、秘書等)、営業職の間でもそれぞれ、2020年2月から2021年2月の間にテレワークを行う人の割合が増加したことが分かる。
一方で、テレワークの頻度はコロナ禍でほとんど変わっていない職種も多数ある。選択肢にある職種のうち、2021年の2月時点で、月に1回以上のテレワークを行う人の割合が最も小さい職種は、生産・技能職と運輸・通信職でどちらも約9%であった。生産・技能職の2020年2月時点で、月に1回以上のテレワークを行う人の割合は約7%で、運輸・通信職では、約8%であったことから、これらの職種の間では、ほとんど増加していないことが分かる。この他にも、医療福祉・教育関係の専門職、販売職、接客サービス職では、テレワークはあまり拡大していないようだ。
4――おわりに
本稿では、ニッセイ基礎研究所の調査結果を用いて、雇用形態及び職種別に、2020年2月から2021年2月の間の、テレワークの拡大状況の違いを確認した。雇用形態については、正社員、契約/派遣社員、公務員のどの職種でも、テレワークは拡大しているものの、2021年2月時点の割合は、正社員が約31%、契約/派遣社員では約20%、公務員では約37%と、雇用形態によって違いが見られた。また、職種別にみると、2021年2月時点で、月1日以上のテレワークを行っている人の割合は、最も大きい管理職では、約51%である一方、最も小さい生産・技能職もしくは、運輸・通信職では約9%であり、職種によって大きな違いがあることが確認された。
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経歴
- 【職歴】
2010年 株式会社 三井住友銀行
2015年 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員
2018年 ニッセイ基礎研究所 研究員
2021年7月より現職
【加入団体等】
日本経済学会、行動経済学会、人間の安全保障学会
博士(国際貢献、東京大学)
2022年 東北学院大学非常勤講師
2020年 茨城大学非常勤講師
(2021年10月14日「基礎研レター」)
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