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中国経済:景気指標の総点検(2021年秋季号)-景気評価結果は0勝,9敗,1分で0点に転落!
三尾 幸吉郎
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1. 中国経済の概況
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関しては2、7月に江蘇省(南京)から観光名所の張家界へと広がり、さらに北京でも確認されるに至って、8月の景気指標を大幅悪化させる主因となった。この市中感染の波はすでに収束したが、新たな市中感染の波が9月に入って福建省・黒龍江省を襲い、重症症例も増え始めている(図表-3)。世界でパンデミックが収まらない間は、いつ海外から中国に流入し市中感染を起こしてもおかしくない状況だ。そして、これから北京冬季オリンピックの開催(22年2月)に向けては、中国政府は小振りな市中感染の波に対しても、厳格な防疫管理体制で臨むと考えられるため、引き続き経済成長率を下押しする要因となりそうである。
1 中国では、統計方法の改定時に新基準で計測した過去の数値を公表しない場合が多く、また1月からの年度累計で公表される統計も多い。本稿では、四半期毎の伸びを見るためなどの目的で、中国国家統計局などが公表したデータを元に推定した数値を掲載している。またその場合には“(推定)”と付して公表された数値と区別している。
2 新型コロナウイルス感染症の経緯に関しては、「中国におけるコロナ禍との闘いを振り返って~今後の政策運営にどう影響するのか?」(ニッセイ基礎研レポート 2020-10-30)で詳細に分析している。
2. 景気10指標の点検
鉱工業生産(実質付加価値ベース)の推移を見ると(図表-4)、今年1-2月期には前年同期にコロナ禍で落ち込んだ反動で前年同期比35.1%増と極めて高い伸びを示したが、その後は反動増の効果が薄れるにつれて伸びが鈍化し、8月には同5.3%増まで減速した。他方、前年同期と比べた伸びは反動増の影響が強すぎるため前月比(季節調整後)も確認すると、21年上半期の平均値は前月比年率7.3%増(推定)だったが、7月は同3.7%増(推定)、8月は同3.8%増(推定)と、3%台に減速している。特に、半導体不足の影響が顕在化した自動車生産の落ち込みが目立ち、5月以降4ヵ月連続の前年割れで、8月の生産台数は173万台と前年同月比18.6%減に落ち込んだ(図表-5)。中国乗用車市場信息聯席会(CPCA)は、マレーシアでコロナ流行がピークアウトしたとして、10月には半導体不足が解消に向かうとしているが、コロナ禍のことだけに予断を許さない。
個人消費の代表指標である小売売上高の推移を見ると(図表-8)、今年1-2月期には前年同期にコロナ禍で落ち込んだ反動で前年同期比33.8%増と極めて高い伸びを示したが、その後は反動増の効果が薄れるにつれて伸びが鈍化し、8月には同2.5%増まで減速している。他方、前月比(季節調整後)の伸びを見ると、21年上半期の平均値は前月比年率5.4%増(推定)だったが、7月には同2.3%減(推定)とマイナスに落ち込み、8月には同2.1%増(推定)とやや戻したものの低水準の伸びに留まった。また、中国恒大集団の経営不安で注目される不動産市場では、分譲住宅販売が前年割れに転じており、住宅関連消費(家電・家具など)にも暗雲が立ち込めている(図表-9)。
一方、輸出(ドルベース)の状況を見ると(図表-11)、今年1-2月期には反動増もあって前年同期比60.4%増と極めて高い伸びを示した。その後はやや伸びが鈍化したものの、8月も同25.6%増と高い伸びを維持している。巣ごもり関連品(PCや家電など)が好調を維持しているのに加えて、世界的にワクチン接種が進んだことで伝統的輸出品(衣類、靴、帽子など)も伸びている。
なお、電力消費量は第2次産業・第3次産業ともに7月までは比較的堅調だったが、8月に大幅悪化した(図表-14)。また、貨物輸送量はコロナ前(2019年)のレベル近辺まで回復しているが、ヒトの動きを示す旅客輸送数の戻りは依然として鈍く、コロナ感染が再発した8月には一気に落ち込むこととなった(図表-15)。他方、工業生産者出荷価格が上昇傾向を強めている。その背景には原材料価格の高騰があり、今のところ消費財の上昇率は低位に留まっている(図表-16)。
3. 景気インデックスは5%台に低下!
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(2021年09月24日「Weekly エコノミスト・レター」)
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