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- 米国個人年金の販売チャネル-商品区分ごとに見るチャネル別販売シェアの状況-
今回も使用するデータは、米国における生命保険マーケティングの調査・教育機関であるリムラ(LIMRA)とその下部機関である安全退職研究所(Secure Retirement Institute:以下、SRI)がまとめたデータである。
1 松岡『米国の個人年金商品-指数連動化が進む米国生保の個人年金-』
https://www.nli-research.co.jp/files/topics/67611_ext_18_0.pdf?site=nli
2――定額年金と変顔年金のチャネル別販売シェア
3――さらに細かく商品類型別のチャネル別販売シェアを見る
定額年金のもう一つの主力商品である「定額指数連動年金」は、保険料に付与される利率がS&P500などの証券関連指数に一部リンクして定められる年金である。定額年金に分類され、元本保証があるが、指数に積立金が連動して変動する。元本を保証しつつ証券市場のパフォーマンスを所定の方式に従って顧客に還元する効果を持つ。定額年金に分類されるので、変額年金を販売する時のような厳格な規制は課されない。
定額指数連動年金の販売においては、独立エージェントが60.7%と、圧倒的なシェアを有している。証券関連の指数等が用いられているため、証券業務に長けた、フル・サービスの大規模証券ブローカー/ディーラー、独立証券ブローカー/ディーラー、銀行による販売が中心なのではないかとも想像されるが、これらのシェアは、それぞれ13.2%、4.0%、15.5%と、目立つほど高くはない。
2020年には、パンデミックの中、マーケット指数の回復に積極的に参加しながら、許容可能な下値への保護を提供するRILAに対する消費者の関心が高まった。RINA以外の変額年金販売が不調に陥る中、RILAは成長を持続し、変額年金トータルとしての販売減を最小限にとどめることに貢献した。
特に独立証券ブローカー/ディーラーチャネルは、この流れをうまく受け止め、退職に向けた魅力的な投資ソリューションとしてRILAを推奨し、成功した。
さいごに
筆者の個人的な感想では、わが国では銀行で販売される印象が強い変額年金において、米国では専属エージェントが約4分の1の販売シェアを有していることが興味深い。米国の生保会社にとって、個人年金業務は生命保険業務よりも重要性の高い事業分野となっているので、個人年金の販売に強い専属エージェントを育成している生保会社があることが想像される。
なお、米国においても、パンデミックの2020年には、バーチャルな販売の導入が模索されたはずであるが、今回のリムラのデータでは、個人年金のオンライン販売を切り出した調査結果は提示されていない。
今後、各販売チャネルにおいて、どのようにオンライン販売の活用が検討され、実施されて行くのか、注目していきたい。
松岡 博司
研究・専門分野
(2021年05月11日「保険・年金フォーカス」)
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