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IAIGsの指定の公表に関する最近の状況(2)-48グループのうちの47グループが明らかに-
中村 亮一
1―はじめに
その後、IAISが4月6日に、IAIGsの指定に関する新たな登録簿を公表2したので、改めてその内容を報告する。
1 https://www.iaisweb.org/page/supervisory-material/insurance-core-principles-and-comframe//file/96294/register-of-internationally-active-insurance-groups-iaigs
2 https://www.iaisweb.org/page/supervisory-material/insurance-core-principles-and-comframe/file/96435/register-of-internationally-active-insurance-groups-iaigs
2―IAIGsとは
IAIGsというのは、英語で「Internationally Active Insurance Groups」と呼ばれており、その言葉通りに、「国際的に有意なレベルで保険事業活動を展開している保険グループ」のことを指している。その具体的な選定基準については、IAIS(保険監督者国際機構)が定量的基準等を定めている。また、IAIGsに対しては、特別な監督・規制が行われることになっている。
IAIGs の選定基準のうちの定量的基準は以下の通りとなっている。
(1) 国際的活動
・3つ以上の管轄区域において、保険料が計上されていること、及び
・本店所在管轄区域外のGWP(収入保険料)のグループ全体のGWPに対する割合が10%以上
(2) 規模(3 年移動平均)
・総資産が500 億米ドル以上、又は
・全体のGWPが100 億米ドル以上
GWSが、IAIGs の指定を公表するが、場合によっては、この開示が法的変更又は規制措置を必要とすることがある。
IAISは、このコミットメントを達成するためのGWSの進捗状況を監視する。IAISは、GWSによって公開されたIAIGs の公開登録を編集する。登録簿には、公開されたIAIGs の数とIAIGs の基準の充足又は監督裁量の行使に基づいてGWSにより特定されたIAIGs の総数を比較した情報が添付されることになっている。
IAIGsの監督のための共通の枠組みとして、IAISは、2019年11月に、ComFrame(Common Framework for the Supervision of Internationally Active Insurance Groups:国際的に活動する保険グループの監督のための共通の枠組み)を採択している。
このComFrameの中で、IAIGs に対する監督・規制内容としては、(1)監督当局の枠組み(監督カレッジの組成や危機管理グループ(CMG)の設立)、(2)資本規制、(3)再建・破綻処理計画、(4)グループガバナンス、(5)ERM(統合的リスク管理)、等が挙げられている。それぞれの項目の具体的な内容については、今回のレポートの趣旨ではないので触れないが、例えば、「(2)資本規制」について、IAISはComFrameの一環としてICS(保険資本基準)を策定中である。
3―IAISによるIAIGsの指定に関する登録簿の最新情報
前回のレポートで報告したように、IAISの2021年3月25日の公表1によれば、2020年7月1日の時点で確認されていた16の管轄区域からの48 のIAIGsのうち、15の管轄区域からの 45のIAIGsが関連GWS(group-wide supervisors:グループ監督者)により公開されていた。
直近では、2021年4月6日において、情報の更新2を行っている。今回のレポートはこの内容を報告する。
今回の情報更新により、全体で16の管轄区域からの 48のIAIGsのうち、16の管轄区域からの47のIAIGs が公開されたこととなった。
前回のレポートからは、新たに公開された管轄区域である南アフリカからの以下の2つのIAIGsが公開されたことになる。
Old Mutual Limited(Prudential Authority)
Sanlam Limited(Prudential Authority)
これにより、16の管轄区域の全てが明らかにされたことになる。ただし、1つのIAIGが未だ公開されていない。
前回のレポートでは、その時点で未公開の管轄区域として、「中国」が推定されていると述べたが、そうではなくて、「南アフリカ」だったということになる。
結局、これまでに公開された47のIAIGsの管轄区域別の内訳は、以下の通りとなっている。
フランス 8
英国 4
ドイツ 3
オランダ 2
イタリア、スペイン、ベルギー、オーストリア 1
スイス 5
米国 8
カナダ 3
日本 4
香港 2
シンガポール 1
オーストラリア 1
南アフリカ 2
4―まとめ
前回のレポートでも述べたように、IAIGsの指定状況は、それぞれの国や地域における保険市場や保険グループの海外展開の状況等を反映して、国・地域毎にその指定グループ数がかなり異なっている。
また、今回の48の保険グループのIAIGsの指定については、適宜見直しが行われていくことになっており、新たな追加や削除等が行われていくことにもなる。
IAIGsの指定に関する状況は、IAIGsに対する監督・規制を巡る状況と共に、関係者の関心の高い事項であることから、今後ともその動向を引き続き注視していくこととしたい。
中村 亮一
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(2021年04月07日「保険・年金フォーカス」)
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