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- 中国における人口問題-高齢化対策を「国家戦略」に格上げ
1――少子高齢化が加速する中国
人口増加率が低下した背景には、1979年に食糧難に備えて導入した「一人っ子政策」がある。出生率(年出生人数÷年平均人口)の推移を見ると[図表-2]、1950年代、1960年代は平均3%台で、1970年代も同2.4%と高水準だったが、1980年代に同2.1%へ低下し、その後も1990年代が同1.8%、2000年代が同1.3%、2010年代が同1.2%と低下してきている。他方で、経済発展とともに死亡率が低下し平均寿命が1981年の67.77歳から2018年には77歳に伸びた。そして、少子高齢化が加速した。
2――「人口ボーナス」が「人口オーナス」に転換した中国
3――高齢化対策を「国家戦略」に格上げする中国
一方、日本はこうした人口問題に取り組み始めて久しい。国際連合のデータで60歳以上の人口比率を日中比較して見ると[図表-5]、中国は現在17.4%で、日本の1990年頃(17.3%)の水準に相当する。高齢化対策という観点では、日本は中国よりも30年先を行く先輩ということになる。その取り組み過程では、成功例が沢山あれば、失敗例も沢山ある。しかし、高齢化がこれから未知の領域に入る中国にとっては、こうした成功例・失敗例がいずれも参考になる経験であり、中国が高齢化対策に取り組む上では貴重な情報と言えるだろう。そして、日本で成功した高齢化ビジネスに関しては、中国に輸出する絶好のチャンスが到来すると見ている。
1 国家発展改革委員会の胡祖才副主任は2021年3月8日、第14次5ヵ年計画に関する説明会見の中で「中国は新5ヵ年期間中に“中度高齢化”の段階に入ることが見込まれる。高齢化への積極的な対応を国家戦略に格上げする」と述べた。
2 現行の法定定年年齢は男性労働者・職員が満60歳、女性幹部が満55歳、女性労働者が満50歳。
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三尾 幸吉郎
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(2021年03月16日「保険・年金フォーカス」)
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