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EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(3)-EIOPAの2020年報告書の概要報告-
中村 亮一
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1―はじめに
今回のレポートは、EIOPAの報告書の第3のセクションから、TRFR(Transitional on the risk-free rate:リスクフリー金利に関する移行措置)とTTP(Transitional on technical provisions:技術的準備金に関する移行措置)という移行措置の適用状況について、その国別の適用会社数やSCR比率への影響等を報告する2,3。
1 https://www.eiopa.europa.eu/content/report-long-term-guarantees-measures-and-measures-equity-risk-2020_en
2 前回のレポートで述べたように、以下の図表及び図表の数値は、特に断りが無い限り、EIOPAの「長期保証措置と株式リスクに対する措置に関する報告書2020」からの抜粋によるものであり、必要に応じて、筆者による分析数値を加えたり、表の項目の順番を変更する等の修正を行っている。
3 LTG措置や株式リスク措置の具体的説明については、「EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(1)-EIOPAの2020年報告書の概要報告-」を参照していただきたい。
2―TRFR及びTTPの国別の適用状況(適用会社及びSCR比率への影響等)
また、TRFRとVA(ボラティリティ調整)を同じ負債に同時に適用することができるが、TRFRを適用する5社は全てVAも適用している。
なお、TTPを適用しているEEAグループは67グループとなっている。
国別では、ドイツにおいては、SCRが18.8%増加、適格自己資本が46.1%減少し、オーストリアにおいては、SCRが14.1%増加、適格自己資本が32.4%減少し、フランスにおいては、SCRが7.9%増加、適格自己資本が29.1%減少しており、これらの国々での影響度が加盟国の中では最大規模となっている。
以下の図表が、TTPを適用している会社のSCR比率の適用前後の状況を示している。
TTPを適用している会社の51%の絶対的な影響は0%から100%ポイントの範囲内となっている。また、11%の会社がTTPを適用しない場合、SCR比率が100%未満となる。さらに、0.75%の会社が、TTPを適用しない場合、適格自己資本がマイナスになる。
また、生命保険会社と損害保険会社及び生損保兼営会社の間で、影響度に明確な差異は見られない。
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