2020年10月23日

新型コロナ接触確認アプリ(COCOA)利用意向をもつ人の評価ポイント(10代編)

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子

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1――アプリの利用意向

7月初旬と10月初旬における接触確認アプリ利用意向を図表1に示す。7月の調査と比べると、10月の調査で「ぜひ利用したい(もう利用している)」は15.2%から21.0%へと増加しているが、「場合によっては利用したい」をあわせると47.3%から41.7%へと低下していた。これは、男女別、学生種別でみても同様で、20~60歳代とも同じ傾向だった。

「接触確認アプリを知らない・聞いたことがない」は、やや低下したが、10月時点でも8.6%と1割近くを占めた。
図表1 新型コロナ接触確認アプリの利用意向

2――アプリについての考え方

2――アプリについての考え方

接触確認アプリについてどのように考えているか聞いたところ、全体では「多くの人が利用することで、国内の感染が早く収束する」が30.2%ともっとも高く、「自分の感染予防への効果は期待できなさそう(28.6%)」「濃厚接触通知があれば、優先的に検査を受けられる(24.2%)」「どのようなものか興味がある(22.9%)」が続いた(図表2)。性別、学生種別でみても、「多くの人が利用することで、国内の感染が早く収束する」が最多だった。

男女別にみると、女性で「濃厚接触通知があれば、優先的に検査を受けられる」が高かった。中学・高校・高専か、専門学校・短大・大学かによる差はほとんどなかった。

利用意向別にみると、「ぜひ利用したい(もう利用している)」で、「多くの人が利用することで、国内の感染が早く収束する」「濃厚接触通知があれば、優先的に検査を受けられる」「セキュリティに配慮がある」「周囲の人の多くが利用している」「家族や学校・職場等、身近な人に強く推奨されている」が高かった。特に、「周囲の人の多くが利用している」「家族や学校・速ば等、身近な人に強く推奨されている」は、「ぜひ利用したい(もう利用している)」が突出して高くなっていた。また、「今のところ利用したくない・絶対に利用したくない」では、「自分の感染予防への効果は期待できなさそう」「その他」が高かった。

前稿で示した20~69歳における利用意向別の考え方と、おおむね同じ傾向がみられたが、20~69歳では、「自分の感染予防への効果は期待できなさそう」「セキュリティに配慮がある」は利用意向によらなかったのに対し、今回の調査では利用意向によって差があった。
図表2 接触確認アプリについてどのように考えているか

3――10代のアプリ利用意向も低下気味。

3――10代のアプリ利用意向も低下気味。アプリへの考え方は20~69歳と大きな差はない。

今回の調査結果から、接触確認アプリを「ぜひ利用したい(もう利用している)」は7月時点より増加していたが、「場合によっては利用したい」をあわせると減少していた。

アプリに対する考え方は、利用意向がある人では、「多くの人が利用することで、国内の感染が早く収束する」が、利用意向がない人で「自分の感染予防への効果は期待できなさそう」が、それぞれ高かった。20~69歳の同時期の結果とおおむね同じ傾向がみられた。

一方で、20~69歳調査と比べると、10代では、「ぜひ利用したい(もう利用している)」と回答した人で、「周囲の人の多くが利用している」「家族や学校・職場等、身近な人に強く推奨されている」が他層と比べて高かった。

日々の学校生活の場では、仮に感染した人がいても、アプリに頼らずとも濃厚接触者を特定しやすいと思われるので、アプリへの期待が少ないのかもしれない。しかし、冬から春は学生にとっては、学校行事、受験やそれに向けての模擬試験、卒業式、入学式と、他校の学生を含めて人との交流が著しく増え、感染拡大が懸念される季節である。大切な行事だけに、多少の体調不良があっても言い出せない学生もいるかもしれない。少しでも早い感染収束に向けて、アプリの効用を繰り返し周知し、大きなイベント前後には学生同士が誘い合わせて使ってみるといったような試みも良いかもしれない。
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保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

村松 容子 (むらまつ ようこ)

研究・専門分野
健康・医療、生保市場調査

(2020年10月23日「基礎研レター」)

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