2020年04月10日

2020・2021年度経済見通し-新型コロナウィルスの感染拡大を受けて2020年度の成長率見通しを大幅下方修正

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■要旨
<実質成長率:2019年度▲0.1%、2020年度▲4.1%、2021年度2.3%を予想>
 
  1. 新型コロナウィルス感染症による経済への影響が一段と深刻化していることを受けて経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2019年度が▲0.1%、2020年度が▲4.1%、2021年度が2.3%と予想する。3/9時点の見通しからの修正幅は2020年度が▲4.2%、2021年度が+1.3%である。
     
  2. 政府の緊急事態宣言を受けて、2020年4-6月期の実質GDPは前期比年率▲15.3%とリーマン・ショック後の2009年1-3月期(同▲17.8%)以来の大幅マイナス成長となることが予想される。7-9月期以降は新型コロナウィルスの終息を前提として高めの成長となるが、経済活動が短期間で元の水準に戻ることは難しいだろう。
     
  3. 景気の急速な悪化を受けて、長期にわたり改善を続けてきた雇用所得環境は大きく崩れる可能性が高い。失業率は現在の2%台前半から4%近くまで上昇し、2020年度の雇用者報酬は8年ぶりに減少することが予想される。
     
  4. 緊急経済対策が「雇用の維持や事業の継続」に重点を置いたことは評価できるが、今後予想される需要の落ち込みに対して十分な規模とはいえない。経済の悪化が想定を上回るような場合には、迅速かつ大胆な追加対策を講じることが望まれる。
実質GDP成長率の推移(年度)
■目次

1. 2020年度の成長率見通しを大幅下方修正
  ・緊急経済対策は雇用維持、事業継続が中心
  ・2020年4-6月期は年率▲10%を超える大幅マイナス成長へ
  ・失業率は4%近くまで上昇、失業者数は100万人以上増加
  ・物価の見通し
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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