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- 年金改革ウォッチ 2020年4月号~ポイント解説:2020年改正法案の検討規定
2020年04月07日
1 ―― 先月までの動き
資金運用部会は2度開催され、これまで議論されてきたGPIFの中期目標の諮問・答申と、基本ポートフォリオの変更を含むGPIFの中期計画の了承とが行われた。年金数理部会では、2018年度の公的年金財政状況報告書が取りまとめられた。
○社会保障審議会 資金運用部会
3月4日(第14回) GPIFの次期中期目標案、次期中期計画案
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09926.html (資料)
3月30日(第15回) GPIFの次期中期計画案
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10574.html (資料)
○社会保障審議会 年金数理部会
3月30日(第84回) 公的年金財政状況報告-平成30年度-
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198131_00012.html (資料)
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198528_00002.html (報告書)
○社会保障審議会 資金運用部会
3月4日(第14回) GPIFの次期中期目標案、次期中期計画案
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09926.html (資料)
3月30日(第15回) GPIFの次期中期計画案
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10574.html (資料)
○社会保障審議会 年金数理部会
3月30日(第84回) 公的年金財政状況報告-平成30年度-
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198131_00012.html (資料)
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198528_00002.html (報告書)
2 ―― ポイント解説:2020年改正法案の検討規定
3月3日に、年金制度改正法案が閣議決定された。改正内容は本誌1月号で紹介したとおりだが、本稿では法案で明らかになった検討規定を確認する。
1|検討規定の役割:将来の改革の道筋を示して推進
改正法の検討規定は国会(国民)が政府に検討を強制するもので、将来の改革の道筋を示して推進するという、重要な役割を持つ。
改正法の検討規定は国会(国民)が政府に検討を強制するもので、将来の改革の道筋を示して推進するという、重要な役割を持つ。
近年では、社会保障・税一体改革の一環として2012年8月に成立した改正法(年金機能強化法)の附則に、厚生年金の適用範囲について2019年9月末までに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講じることが盛り込まれていた。その結果、厚生労働省が招集した懇談会が2019年9月20日に議論をとりまとめ、今回の改正法案に適用範囲の拡大が盛り込まれている。
また、2013年12月に成立した社会保障改革プログラム法では、本則に検討規定が盛り込まれた(図表1)。この規定に基づき、2016年改正ではマクロ経済スライドの繰越が導入され、今回の改正法案には厚生年金の適用拡大や繰下げ受給の柔軟化などが盛り込まれている。
また、2013年12月に成立した社会保障改革プログラム法では、本則に検討規定が盛り込まれた(図表1)。この規定に基づき、2016年改正ではマクロ経済スライドの繰越が導入され、今回の改正法案には厚生年金の適用拡大や繰下げ受給の柔軟化などが盛り込まれている。
2|今回の検討規定:3項目に分け時期を記載
今回の検討規定は改正法案の附則第2条にあり、3項に分かれている*1。
今回の検討規定は改正法案の附則第2条にあり、3項に分かれている*1。
第1項は、前述した社会保障改革プログラム法の検討項目(ただし適用拡大は除く)と所得再分配機能の強化、その他必要な事項の検討を指示している。具体的には、マクロ経済スライドのフル適用や基礎年金拠出期間の延長、65歳以上の在職老齢年金などが対象になると予想されるが、いずれも過去に成案に至らなかった経緯があり、新たな展開が起こるかは不透明である。
時期については、「施行後速やかに」と記されている。この法案は項目によって施行日が異なるが、附則第1条第1項で基本的な施行日を2022年4月1日としている。ただ検討規定には、改正後の施行状況等を勘案し、とも記されており、具体的な検討が遅れる可能性もある。
第2項は、厚生年金の適用拡大である。今回の改正法案では、政府がオプション試算で示した拡大規模(約125~1050万人)には至らず約65万人にとどまったため、さらなる拡大を議論することになろう。時期は、遅くとも2024年には実施される次の財政検証を踏まえて、と記されている。今回の改正法案による適用拡大は2022年10月と2024年10月の2段階で施行予定のため、具体的な検討は2024年10月施行分の影響判明後になる可能性もある。その場合、5年サイクルでの法案提出(2025年3月)から遅れる可能性がある。
第3項は、確定拠出年金法に関する規制の再検討である。具体的な内容は、企業年金・個人年金部会が昨年12月に公表した報告書(議論の整理)で「引き続きの検討課題」に挙がった、拠出限度額や中途引出、受給形態などが予想される。時期は、改正法施行の5年後(2027年10月)が目処になっている。
国会(厚生労働委員会)では新型コロナウイルス関連の議論が優先されるとみられるが、将来的な検討課題やそのスケジュールも踏まえつつ、今回の改正法案の国会審議に注目したい。
1 法律案案文の中ほど(p.107)に記載されている。
時期については、「施行後速やかに」と記されている。この法案は項目によって施行日が異なるが、附則第1条第1項で基本的な施行日を2022年4月1日としている。ただ検討規定には、改正後の施行状況等を勘案し、とも記されており、具体的な検討が遅れる可能性もある。
第2項は、厚生年金の適用拡大である。今回の改正法案では、政府がオプション試算で示した拡大規模(約125~1050万人)には至らず約65万人にとどまったため、さらなる拡大を議論することになろう。時期は、遅くとも2024年には実施される次の財政検証を踏まえて、と記されている。今回の改正法案による適用拡大は2022年10月と2024年10月の2段階で施行予定のため、具体的な検討は2024年10月施行分の影響判明後になる可能性もある。その場合、5年サイクルでの法案提出(2025年3月)から遅れる可能性がある。
第3項は、確定拠出年金法に関する規制の再検討である。具体的な内容は、企業年金・個人年金部会が昨年12月に公表した報告書(議論の整理)で「引き続きの検討課題」に挙がった、拠出限度額や中途引出、受給形態などが予想される。時期は、改正法施行の5年後(2027年10月)が目処になっている。
国会(厚生労働委員会)では新型コロナウイルス関連の議論が優先されるとみられるが、将来的な検討課題やそのスケジュールも踏まえつつ、今回の改正法案の国会審議に注目したい。
1 法律案案文の中ほど(p.107)に記載されている。
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経歴
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
(2020年04月07日「保険・年金フォーカス」)
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