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- 中国経済の見通し-米中対立に揺れる中国経済の今後をどう見るか?
4.輸出の動向
5.中国経済の見通し
以上のような現状を踏まえると、2020年に向けての経済成長率は実質で6%台前半の低迷と予想している(図表-14)。個人消費は、中間所得層の増加がサービス消費を拡大し、ネット販売化が新たな消費を喚起する流れが続いているため、底堅い伸びを維持するものの、米中対立の激化で株価や消費マインドは不安定となり、若干の伸び鈍化を見込む。投資は、中国政府の景気対策により、インフラ投資は勢いを増すと見られるものの、米中ハイテク摩擦に伴う先行き不透明感が足かせとなるため、低位の伸びに留まると予想する。輸出は、米中の関税引き上げ合戦に伴い製造拠点の海外流出が増えるのに加えて、中国政府の輸入拡大方針により、輸入が高い伸びを示すと見られることから、純輸出はマイナス寄与が続くと予想する。なお、消費者物価はサービス価格の上昇を背景に緩やかに上昇していくと予想している。
また、米中対立の成り行き次第では、上振れ・下振れするシナリオも考えられる(図表-15)。このまま米中対立が激しさを増して行けば、ITサイクルの停滞が長引く上、株価が再び急落して自動車などの消費を押し下げる恐れがある。但し、19年中にそうした事態に陥った場合には、中国政府が景気対策を上乗せする可能性が高いため、経済成長率が6%を割り込むことはないだろう。一方、急転直下、米中首脳会談が実現して米中対立が緩和に向かえば、次世代通信規格(5G)への移行を控えてITサイクルが一気に上向く上、株価が上昇して自動車などの消費を押し上げる可能性もある。但し、景気が上向けば、中国政府は再び「債務圧縮(デレバレッジ)」に動くと見ているため、経済成長率が7%に近付くこともないだろう。今後も米中対立の行方から目が離せない状況が続きそうだ。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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三尾 幸吉郎
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(2019年05月31日「Weekly エコノミスト・レター」)
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