2019年04月11日

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(4月号)~輸出が3ヵ月連続で減少、米国向け急伸も貿易停滞懸念を払拭できず

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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シンガポールの19年2月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て、通関ベース)は前年同月比2.2%減(前月:同12.4%減)と上昇した。輸出の伸び率は、主力の電子製品と石油化学製品が低迷しているものの、2月は医薬品を支えに4カ月ぶりのプラスに転じた。なお、総輸出額は前年同月比0.2%減(前月:同1.6%減)と上昇する一方、総輸入額は同1.8%増(前月:同5.2%増)と低下した。結果として、貿易収支は27.7億ドルの黒字となり、前月から5.7億ドル黒字が拡大した(図表11)。

輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品は同10.3%減(前月:同18.0%減)と、3ヵ月連続のマイナスとなった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同4.8%増)とPC部品(同6.6%増)がプラスに転じたものの、PC(同30.6%減)やダイオード・トランジスタ(同31.3%減)などが低迷した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同0.5%減(前月:同3.2%減)と3ヵ月連続で減少した。化学製品の内訳を見ると、石油化学製品が同8.5%減(前月:同14.1%減)と低迷する一方、医薬品が同9.2%増(前月:同12.5%増)と好調を維持した。
(図表11)シンガポール貿易収支/(図表12)シンガポール輸出の伸び率(品目別)
フィリピンの19年2月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比0.9%減となり、前月の同6.7%減からマイナス幅が縮小した。輸出の伸び率は昨年主力の電子製品を中心に緩やかな増加傾向が続いていたが、12月に大きく下落して以降マイナス圏で推移している。また輸入額は前年同月比2.6%増(前月:同3.6%増)と低下した。結果として、貿易収支は27.9億ドルの赤字となり、前月から11.3億ドル赤字が縮小した(図表13)。

輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同0.8%増(前月:同1.7%増)と低下したが、2ヵ月連続のプラスとなった(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同2.1%減)と電子データ処理機(同5.6%減)が減少したものの、家電製品(同49.7%増)と電気通信機器(同55.2%増)が大幅に増加した。その他9品目は総じて減少した品目が多かった。バナナ(同54.6%増)と精錬銅(同41.3%増)、雑品(同21.1%増)、化学(同0.0%増)が増加する一方、金属部品(同27.8%減)、金(同18.4%減)、機械・輸送用機器(同16.7%減)、その他製造品(同12.6%減)、イグニッション・ワイヤーセット(同3.6%減)が減少した。
(図表13)フィリピンの貿易収支/(図表14)フィリピン 輸出の伸び率(品目別)
 
 

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

(2019年04月11日「経済・金融フラッシュ」)

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