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2019年02月15日
3.労働力不足が深刻化
(製造業・建設業、中小企業):労働力不足の裾野が拡大
製造業雇用は16年以降増加基調となっているが、全米製造業協会(NAM)の調査では、17年10-12月期以降、「医療保険料の増加」や「原材料価格の上昇」などを抜いて回答企業の6割から7割が「熟練労働力の確保」をビジネスの最優先課題として挙げている(図表8)。実際、18年10-12月期の同調査では、77%の企業で欠員が生じているとしているほか、29%の企業が労働力の制約によって新規ビジネスを引き受けられないため、売上高に影響していると回答しており、ビジネスに影響がでている。
また、建設業でも全米建設業協会(NAHB)による18年7月調査で、労働力が不足していると回答した住宅業者が67%となった(図表9)。これは、住宅着工件数が現在の倍程度あった前回建設ピーク時(05~06年)の3割~4割を大幅に上回っている。実際、JOLT統計で建設業の求人率は18年12月が4.9%となった。また、12ヵ月移動平均で3.6%と前回の建設ピーク時の2.7%程度と比較して高くなっており、労働力不足が深刻化していることが分かる。
製造業雇用は16年以降増加基調となっているが、全米製造業協会(NAM)の調査では、17年10-12月期以降、「医療保険料の増加」や「原材料価格の上昇」などを抜いて回答企業の6割から7割が「熟練労働力の確保」をビジネスの最優先課題として挙げている(図表8)。実際、18年10-12月期の同調査では、77%の企業で欠員が生じているとしているほか、29%の企業が労働力の制約によって新規ビジネスを引き受けられないため、売上高に影響していると回答しており、ビジネスに影響がでている。
また、建設業でも全米建設業協会(NAHB)による18年7月調査で、労働力が不足していると回答した住宅業者が67%となった(図表9)。これは、住宅着工件数が現在の倍程度あった前回建設ピーク時(05~06年)の3割~4割を大幅に上回っている。実際、JOLT統計で建設業の求人率は18年12月が4.9%となった。また、12ヵ月移動平均で3.6%と前回の建設ピーク時の2.7%程度と比較して高くなっており、労働力不足が深刻化していることが分かる。
4.今後の見通し
(労働力増加余地):高齢化の影響もあり、労働力人口の増加余地が狭まっている
19年1月時点で職探しを諦めて労働市場から退出した非労働力人口はおよそ9,600万人である(図表12)。このうち、職を希望している人数は500万人台半ばに過ぎず、労働市場に再参入する可能性がある人数は非労働力人口の中で限られている。
一方、非労働力人口のうち、現在は職を希望していないが、雇用環境が改善していることから、再び職を希望する可能性も否定できない。しかしながら、職を希望していない人数を年齢階層別にみると55歳以上が6割超のシェアを占めるなど高齢化に伴って引退している人が多いと考えられるため、これらの人が雇用環境の好転によって再び職を求める可能性は限定的だろう。
19年1月時点で職探しを諦めて労働市場から退出した非労働力人口はおよそ9,600万人である(図表12)。このうち、職を希望している人数は500万人台半ばに過ぎず、労働市場に再参入する可能性がある人数は非労働力人口の中で限られている。
一方、非労働力人口のうち、現在は職を希望していないが、雇用環境が改善していることから、再び職を希望する可能性も否定できない。しかしながら、職を希望していない人数を年齢階層別にみると55歳以上が6割超のシェアを占めるなど高齢化に伴って引退している人が多いと考えられるため、これらの人が雇用環境の好転によって再び職を求める可能性は限定的だろう。
(雇用増加見込み):20年以降、雇用の伸びは大幅に鈍化する見込み
非農業部門雇用者数は18年に268万人増加し、前年から+1.8%の高い伸びとなった(図表13)。
議会予算局(CBO)は労働力人口の増加余地が乏しくなる中で、19年の雇用増加ペースが年間178万人(月間14.8万人増)のペースに鈍化するとし、伸び率が同+1.2%に低下すると試算している。
また、CBOは20年~23年にかけて、さらに雇用増加ベースは年間47万人増(月間3.9万人増)と前年比で僅か+0.3%程度に留まるとしている。
労働市場の回復が長期化し、労働力不足が深刻化する中で、雇用の伸び鈍化は不可避だが、CBOの試算通りとなると、19年はまだ比較的堅調な伸びを維持できるものの、20年以降は雇用の伸びが大幅に鈍化するとみられる。
非農業部門雇用者数は18年に268万人増加し、前年から+1.8%の高い伸びとなった(図表13)。
議会予算局(CBO)は労働力人口の増加余地が乏しくなる中で、19年の雇用増加ペースが年間178万人(月間14.8万人増)のペースに鈍化するとし、伸び率が同+1.2%に低下すると試算している。
また、CBOは20年~23年にかけて、さらに雇用増加ベースは年間47万人増(月間3.9万人増)と前年比で僅か+0.3%程度に留まるとしている。
労働市場の回復が長期化し、労働力不足が深刻化する中で、雇用の伸び鈍化は不可避だが、CBOの試算通りとなると、19年はまだ比較的堅調な伸びを維持できるものの、20年以降は雇用の伸びが大幅に鈍化するとみられる。
(米経済への影響):労働供給制約が景気回復に水を差す可能性
米国経済は、09年6月から景気拡大局面が持続しており、今年7月を越えて拡大すると、景気拡大期間が史上最長を更新する。このため、景気循環の観点からは景気拡大が最終局面に近いとみられる。
また、昨年からの好景気は労働市場の回復を背景にした消費主導の景気回復に加え、大型減税や歳出拡大を通じた財政政策による景気刺激策が奏功したとみられる。一方、今後は財政ルールに基づく歳出削減が見込まれるほか、減税による景気浮揚効果の逓減が予想される。さらに、金融政策による緩和効果も期待できないことから、財政・金融政策による景気押上げ効果は期待できない。
そのような中で、労働市場は労働需給の逼迫を背景に賃金上昇率の加速は見込まれるものの、雇用増加ペースの鈍化は避けられず、労働力不足によるビジネスへの影響が顕在化し、労働供給制約が景気に水を差す可能性がでてきた。今後は労働市場が鈍化するスピードに注目だろう。
米国経済は、09年6月から景気拡大局面が持続しており、今年7月を越えて拡大すると、景気拡大期間が史上最長を更新する。このため、景気循環の観点からは景気拡大が最終局面に近いとみられる。
また、昨年からの好景気は労働市場の回復を背景にした消費主導の景気回復に加え、大型減税や歳出拡大を通じた財政政策による景気刺激策が奏功したとみられる。一方、今後は財政ルールに基づく歳出削減が見込まれるほか、減税による景気浮揚効果の逓減が予想される。さらに、金融政策による緩和効果も期待できないことから、財政・金融政策による景気押上げ効果は期待できない。
そのような中で、労働市場は労働需給の逼迫を背景に賃金上昇率の加速は見込まれるものの、雇用増加ペースの鈍化は避けられず、労働力不足によるビジネスへの影響が顕在化し、労働供給制約が景気に水を差す可能性がでてきた。今後は労働市場が鈍化するスピードに注目だろう。
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
(2019年02月15日「Weekly エコノミスト・レター」)
公式SNSアカウント
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