2019年01月10日

【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(1月号)~輸出は米中貿易戦争の余波で上下に振れながら鈍化傾向に

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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シンガポールの18年11月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て、通関ベース)は前年同月比3.9%減(前月:同6.7%増)と低下した。輸出の伸び率は主力の電子製品が低迷するなかでも増加傾向を続けたが、11月は牽引役の医薬品が伸び悩んで14ヵ月ぶりのマイナスとなった。なお、総輸出額は前年同月比4.8%増(前月:同18.7%増)、総輸入額は同7.8%増(前月:同18.1%増)となり、それぞれ低下した。結果として、貿易収支は24.8億ドルの黒字となり、前月から15.3億ドル黒字が縮小した(図表11)。

輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品は同3.0%増(前月:同5.0%減)と上昇し、10ヵ月ぶりのプラスに転じた(図表12)。電子製品の内訳を見ると、PC(同20.7%減)やPC部品(同31.7%減)、ダイオード・トランジスタ(同32.8%減)が低迷する一方、主力のIC(同26.1%増)が急上昇した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同1.3%増(前月:同29.3%増)と大きく鈍化した。化学製品の内訳を見ると、石油化学製品が同9.1%減(前月:同1.5%減)と低迷、医薬品も同6.9%増(前月:同87.0%増)と鈍化した。
(図表11)シンガポール貿易収支/(図表12)シンガポール輸出の伸び率(品目別)
フィリピンの18年11月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比0.3%減と、前月(同5.5%増)から低下した。輸出の伸び率は昨年前半にマイナス圏で推移した後、年後半からは概ね小幅の増加傾向で推移したが、足元では主力の電子製品が伸び悩んできている。一方、輸入額は前年同月比6.8%増(前月:同21.4%増)と大きく低下した。結果として、貿易収支は39.0億ドルの赤字となり、前月から1.8億ドル赤字が縮小した(図表13)。

輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同1.6%減(前月:同0.8%増)と低下した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同2.5%減)が2ヵ月連続のマイナスとなったほか、電子データ処理機(同2.6%増)も鈍化した。その他9品目は総じて増加した品目が多かった。バナナ(同100.4%増)や機械・輸送用機器(同80.3%増)、雑品(同35.5%増)、その他鉱物製品(同14.2%増)、金属部品(同6.5%増)、その他製造品(同5.7%増)が増加する一方、化学(同16.9%減)、イグニッション・ワイヤーセット(同14.9%減)、ココナッツオイル(同1.3%減)が減少した。
(図表13)フィリピンの貿易収支/(図表14)フィリピン 輸出の伸び率(品目別)
 
 

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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

(2019年01月10日「経済・金融フラッシュ」)

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