2018年09月20日

縮小するブライダル・マーケットとその活路-少子化や未婚化、「ナシ婚」「ジミ婚」で市場縮小~消費者の今を知る

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

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■要旨
 
  • 日本では過ごしやすい秋や春に結婚式が多く、真夏や年末年始は結婚式が少ない。一方で共働きも増え、何かと忙しい現代社会では、結婚式と入籍の時期が一致するカップルばかりではない。入籍は3月が最多だが、結婚式の少ない12月の上位に上がる。
     
  • そもそも入籍はしても結婚式はしない「ナシ婚」が増えているようだ。また、年齢が高いほど「ナシ婚」が増える。全体で「ナシ婚」増加の背景には、晩婚化による「ジミ婚」に加えて、新婦が妊娠している割合や再婚の割合が高まっている可能性のほか、若年層の経済的な問題も指摘できる。今ではお金をかけない「スマ婚」などもある。
     
  • 経済産業省の統計によれば、結婚式場業の取扱い件数や売上高は減少しており、ブライダル・マーケットは縮小傾向にある。少子化による若年人口の減少、未婚化の進行に、「ナシ婚」や「ジミ婚」、「スマ婚」が拍車をかけているようだ。
     
  • ブライダル・マーケットの活路はどこにあるのか。未婚者が未婚にとどまる最大の理由は「適当な相手にめぐりあわない」ことだ。例えば、平日の夜に使われていない式場などを出会いの場としてプロデュースすれば、式場運営の面からも顧客獲得の面からも効率的ではないか。人を幸せにする業界が息を吹き返すことは、日本の消費市場全体が活気づく良い刺激になるのではないだろうか。

■目次

1――秋に多い日本の結婚式
  ~ジューン・ブライドの6月より、さわやかな季節が人気、入籍はイベント月も
2――入籍はしても結婚式をしない?
  ~20~40代で「ナシ婚」が増加、年齢が高いほど「ナシ婚」が多い
3――結婚式をしない背景
  ~長期的には晩婚化による「ジミ婚」、若者の経済環境の厳しさの影響も
4――ブライダル・マーケットの縮小
  ~少子化や未婚化の進行、「ナシ婚」「ジミ婚」「スマ婚」が拍車
5――縮小するブライダル・マーケットの活路は
  ~結婚の障壁の「出会いがない」ことのプロデュース?
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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
     2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
     2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
     2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
     2021年7月より現職

    ・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
    ・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
    ・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
    ・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
    ・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
    ・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
    ・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
    ・総務省「統計委員会」委員(2023年~)

    【加入団体等】
     日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
     生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society

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