2018年09月12日

データで見る「ニッポンの独身者は誰と暮らしているのか」-「結婚のメリットがわからない」独身者の世帯(居場所)のカタチとは-

生活研究部 准主任研究員   天野 馨南子

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3――年齢別・男女別 独身者は誰と住んでいるのか?

1|独身男性のケース-若いうちは親と同居、親との同居解消は50代から
独身男性が年齢ゾーン別にどのような世帯に住んでいるかをまとめたものが下の図表である(図表4)。
【図表4】 年齢ゾーン別 独身男性の世帯の姿
20代~40代の独身男性は、両親のみ、または母親のみとの同居といういわゆる「親子密着世帯」が半数を超えた。親だけでなく祖父母なども含めた親族だけで構成される身内世帯に住む独身者となると、20代から40代まで全て6割超で推移する。
20代・30代は年齢的には、親の介護等での同居が6割にのぼるとはまだ考えにくいため、何らかのメリットが双方にあり、学生時代の生活の延長のような世帯を6割の独身男性が親族と続けており、そのままの割合で40代に移行することがみてとれる。
 
50代以降(その両親は70代以上になると予想される)、親の介護等で同居が増加することも予想したものの、逆に親との同居率は減少し、代わりに、ひとり暮らしやきょうだいのみでの同居が増加する。親が施設に入る、他界する等で親との同居を中止・終了しているようにも見てとれるデータとなっている。
 
独身男性のひとり暮らしは40代までは3割にとどまるが、親を中心とする親族との同居解消にともない50代以降は急増し、60代では6割にのぼる。
 
データからは、50代という老年の入り口から慣れないひとり暮らしに移行する独身男性が相当数存在する、という社会的には不安な状況が示唆されているといってよいだろう。
2|独身女性のケース-50代まで極めて高い親との同居率、60代から独立?
次に、独身女性が年齢ゾーン別にどのような世帯に住んでいるかをみてみたい(図表5)。
【図表5】 年齢ゾーン別 独身女性の世帯の姿
20代から50代まで女性の方が男性に比べて親や親族との同居率高い。約7割の独身女性が40代まで親や身内だけとの同居を続けている。
一方、ひとり暮らしは約3割程度で40代まで推移する。
親子年齢差的には50代あたりから親の介護が発生すると考えられるため、親との同居比率が50代から増加するかとも考えられたが、男性同様、50代から大きく減少してゆく。
50代で両親のみと同居していた同率の独身女性が、(両親との同居がなくなる代わりに)きょうだいのみの同居に移行しているところも興味深い。
いずれにしても独身女性の大半は「なんとかして身内密着型世帯維持」で暮らしていることが男性より強く示唆されている。
 

4――同棲・結婚などパートナーを持つことの経済メリットを無効化する「親族密着世帯」依存の生き方

4――同棲・結婚などパートナーを持つことの経済メリットを無効化する「親族密着世帯」依存の生き方

1|「長期子どもポジション・キープ」というメリット
筆者がこの分析結果から感じるのは「これでは初老になるまでパートナーを持つメリットなど感じられないのではないか」ということである。
 
先にも述べたが、1人世帯よりも2人世帯の方が生活にかかるコストは一般的には約7割に減少する。これがパートナーを持つ大きなメリットの1つともいえる。
しかし両親と3人世帯であれば1人当たりコストは6割にまで減少する。祖父母も住んでいるのであれば、5人世帯でコストが5割を切る。親や祖父母にも当然この同居メリットはある。
 
つまり身内から若い男女が離れられない根拠の1つはこの同居メリットであるともいえる。
経済的にリーズナブルな上に、例えば長年親しんだ習慣から離れなくてもよいというメリットが付加される。
特に長年子どもとして暮らしてきた立場から「加齢していても子どもポジションとしての居場所をキープ」することさえも容易であろう。これは結婚のメリットでは得がたいメリットでもあるだろう。
親との同居メリットとして、例えば
 
料理や掃除や洗濯は母親/近所付き合いも母親/不動産コストゼロ/父親の車がタクシー代わり
 
となってくると、もはや子どもポジションにある人間の思考が「親を超える大金持ちとの結婚以外、メリットなし」となっても致し方ないだろう。
2|45歳以上:「老後1人で生活することへの不安」で結婚希望再燃
かつて、農村社会が主流であった時代には大規模家族経営のメリットとして、とにかく親族同居が最適であったかもしれない。
 
しかし、第2次・第3次産業従事者が大半を占めるようになった中で、このような親族密着型の家族のあり方の維持は、愛する息子・娘の経済的自立や責任感の醸成、新たな家庭形成への一歩という自立心を奪いかねないことは考えておきたいところである。
 
明治安田生活福祉研究所の2017年の「35~54歳の結婚意識に関する調査」では「一生独身でいることを決意・覚悟した理由」については、男性の4割、女性の3割が「結婚に向いていない」であった。
そして、45歳以上で「やっぱり結婚したいと思うようになった理由」については、男性の4割、女性の5割が「老後1人で生活することへの不安」と回答している。
 
本レポートの分析では、50代以降、おそらく親の病気や他界などによって「20代から続いていた独身男女とその親との同居が解消」されることによる、「中高年からの非自発的なひとり暮らし」が急増している。
その中で、45歳以降になってようやく「1人は不安だ、やっぱり結婚したい」と思い始めるという、現代の独身男女の姿が浮かび上がる。
 
独身男女の「結婚が向いていない」「メリットがわからない」という回答の背景の1つに、男性6割超、女性7割超の「身内だけとのリーズナブルで気楽な暮らし」があることは間違いないといえるのではないだろうか。
 
可愛い子には旅をさせよ。
 
そんな言葉が日本の未婚化を理解するキーワードの1つになりうるかもしれない。
【参考文献一覧】
  
国立社会保障人口問題研究所.「出生動向基本調査」
 
国立社会保障人口問題研究所.「出生動向基本調査(独身者調査)」第11回~第15回
 
厚生省人口問題研究所(1992)「独身青年層の結婚観と子供感」
 
厚生労働省.「人口動態調査」
 
国立社会保障・人口問題研究所. 「人口統計資料集」2017年版
 
総務省総計局. 「平成27年 国勢調査」
 
明治安田生活福祉研究所. 「2017年 35~54歳の結婚意識に関する調査 」
 
明治安田生活福祉研究所. 「2017年25~34歳の結婚と男女交際(男女交際・結婚に関する意識調査より)」
 
明治安田生活福祉研究所. 「2017年15~34歳の恋愛と男女交際(男女交際・結婚に関する意識調査より)」
 

天野 馨南子.“2つの出生力推移データが示す日本の「次世代育成力」課題の誤解-少子化社会データ再考:スルーされ続けた次世代育成の3ステップ構造-” ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」2016年12月26日号
 
天野 馨南子.“2015年最新国勢調査結果・都道府県別生涯未婚率データが示す「2つのリスク」-お年寄り大国世界ランキング1位・少子化社会データ再考-” ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」2017年5月1日号
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生活研究部   准主任研究員

天野 馨南子 (あまの かなこ)

研究・専門分野
少子化対策・女性活躍推進

(2018年09月12日「基礎研レポート」)

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