2018年04月27日

2018年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.1%(年率▲0.5%)を予測~

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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・公的固定資本形成~横ばいが続く~
公共工事請負金額、出来高の推移 公的固定資本形成は前期比0.0%の横ばいを予測する。

公共工事の先行指標である公共工事請負金額は2017年7-9月期の前年比▲7.9%から、10-12月期には同1.1%と持ち直したが、2018年1-3月期は同▲15.6%と大きく落ち込んだ。一方、公共工事の進捗を反映する公共工事出来高(建設総合統計)は前年比で増加が続いているが、2017年4-6月期の前年比8.1%をピークに7-9月が同4.1%、10-12月期が同3.1%と伸び率は鈍化している(2018年1、2月の平均は前年比1.9%)。なお、建設総合統計は2017年4月から新推計に移行しているため、2017年4月以降の前年比は新推計に基づく参考数値との比較である。

公的固定資本形成は、2016年度補正予算の執行本格化から2017年4-6月期に前期比4.8%の高い伸びとなったが、その効果が一巡した7-9月期に同▲2.6%と落ち込んだ後、横ばい圏の推移が続いている。2017年度補正予算では、災害復旧等・防災・減災事業を中心に公共事業関係費が約1兆円積み増された。しかし、2016年度補正予算の1.6兆円に比べて規模が小さいこと、2018年度の当初予算が公共事業関係費は前年比+0.0%の横ばいとなっていること、先行指標(公共工事請負金額)の弱さを踏まえれば、先行きの公的固定資本形成は弱めの動きとなることが見込まれる。
・外需寄与度~輸出入ともに伸びが鈍化しほぼゼロに~
 
外需寄与度は前期比0.0%(前期比年率0.2%)と経済成長率に対してほぼニュートラルになったと予測する。財貨・サービスの輸出が前期比0.4%、財貨・サービスの輸入が前期比0.2%とともにほぼ横ばいとなるだろう。
地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移 1-3月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲0.2%(10-12月期:同▲2.0%)、EU向けが前期比0.1%(10-12月期:同0.0%)、アジア向けが前期比▲2.6%(10-12月期:同3.6%)、全体では前期比▲1.2%(10-12月期:同1.7%)となった。

米国向け、EU向けはほぼ横ばいだったが、これまで高い伸びを続けてきたアジア向けが大きく落ち込んだ。また、輸出の牽引役となっていたIT関連は2月に春節の影響で落ち込んだ後、3月の戻りも弱く、変調の兆しも見られる。米中貿易摩擦の悪影響も懸念されることから、ここにきて輸出の先行き不透明感は高まっている。

 
日本・月次GDP 予測結果
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

(2018年04月27日「Weekly エコノミスト・レター」)

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