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『SDGsウォッシュ』と言われないために~「SDGsの実装化」に向かう日本企業のグッド・プラクティス~
客員研究員 川村 雅彦
3――「SDGs達成への貢献」 に向けた日本企業のグッド・プラクティス
(注)本章の引用における下線は筆者による。
SDGsにかかわるトップコミットメント
ホームページやCSR報告書などのトップコミットメントにおいて、SDGsに言及する企業が増えてきたが、その内容にはバラツキがあり、3つに分類できる。ここでは、パターン3の事例を述べる。
- コミットパターン1:単なる経営の時代背景として、SDGsの国連採択に言及
- コミットパターン2:SDGsを認識・理解しているが、今後の方向性として意思表明
- コミットパターン3:SDGsを経営戦略に組み込み、中核事業によるSDGs達成への貢献を表明
経営者メッセージ : 執行役社長兼CEO
・・・・日立は幅広い事業活動を通じて、社会や環境の課題解決に大きく貢献し、・・・・・人々や地球環境に与えるネガティブ・インパクトを軽減し、緩和するために責任ある企業活動を行い、SDGsなどのような国際的な目標達成に貢献していきます。これが日立の考える『サステナビリティ』です。
経営者メッセージ : 代表執行役 執行役専務(CSR・環境担当役員)
・・・・・日立では、SDGs達成への貢献も含めたサステナビリティ戦略をより推進するために、2017年4月に第一回『サステナビリティ戦略会議』を開催しました。・・・・・SDGsの目標達成に貢献するための施策や推進体制などについて議論しました。
(筆者注)2016年度、SDGsを踏まえ日立の社会イノベーション事業を通じてどのような貢献ができるのか、経営レベルでの検討を開始した。
(資料)「日立 サステナビリティレポート2017」(10~11頁)より抜粋
CEOメッセージ : 代表取締役社長 CEO
・・・・・課題解決に取り組む我々の姿勢は、2030年をゴールとして国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)への貢献につながっています。今回策定した中期経営計画「VG2.0」は、持続的な未来への成長を目指す戦略です。
(資料)「OMRON統合レポート2017」(6頁)より抜粋
サステナビリティを監視・監督する取締役会議長として:取締役会長
・・・・・2016年度には企業理念の下に「サステナビリティ方針」を策定し、・・・・・この方針に基づき設定したサステナビリティ目標の達成に向けた取り組みを取締役会として監視・監督し、着実に実行させていくことで、事業を通じたグローバルでの社会的課題の解決をより確実なものにし、・・・・・
(筆者注)価値創造モデルには、4領域のアウトカムとしてSDGsの6つの目標アイコンが貼り付けられている。
(資料)オムロンのホームページ https://www.omron.co.jp/sustainability/omron_csr/global/
トップコミットメント : 代表取締役社⻑
2. SDGsとサラヤ
・・・・・サラヤは企業活動目標に、このSDGsの目標を、個別・具体的に取り入れ、対応をはかります。
(資料)「SARAYA 持続可能性レポート2017」(3頁)
サラヤはSDGsの達成に取り組みます。・・・・・一歩一歩、世界の各地域の経済力の向上に資するプロジェクト、また衛生向上や生物多様性の保全にむけて、各事業をSDGsと関連づけ、具体的に行動をいたします。
(注)6事業分野ごとに具体的な目標と取組内容が書かれている。
(資料)サラヤのホームページ https://www.saraya.com/csr/csr/message.html
トップコミットメント : グループCEO 取締役社長
・・・・・当社グループのトランスフォーメーションは、国連が⼈間、地球および繁栄のための⾏動計画として定めるSDGsにも貢献できるものだと考えています。・・・・・SDGsに集約された世界共通の達成⽬標をヒントに、顕在化している社会的課題の解決はもちろん、未来に求められるものを⾒極め、価値を創造していかなければなりません。
(注)SDGsの問題意識を背景に、5つのグループCSR重点課題と3つの重点アプローチが特定されている。
(資料)「SOMPOホールディングス CSRコミュニケーションレポート2017」(6頁)より抜粋
トップメッセージ : 代表取締役社⻑
・・・・・環境・社会の持続可能性(サステナビリティ)が経営上重要な対処すべき課題です。・・・・・当社グループは「世界のティーカンパニー」に向けて、SDGsの内容をグループの強みを活かした事業機会(チャンス)の獲得への参照とする一方、世界的視野での事業環境とリスク分析に活用していきます。・・・・・「茶畑から茶殻まで」の一貫した体系として、バリューチェーンのすべての局面で関係者との協働により、当社・関係者・社会の間で共有価値が創造されて、Win-Win-Win関係が生まれます。
(注)併併せて、「SDGs活用により、CSR/CSV経営の強化」と明記されている。
(資料)「伊藤園統合レポート2017」(4~5頁)より抜粋
SDGコンパス(ステップ2)は、自社事業の影響評価と優先課題を決定するための出発点として、供給拠点・調達物流から生産・事業を経て製品の販売・使用・廃棄に至るバリューチェーン全体を考慮することを推奨する。なぜかと言えば、バリューチェーンにおけるSDGsマッピングにより、自社事業における正と負のインパクトの強い領域を自ら特定できるからである(図表3参照)。
ここでは自社のバリューチェーンにおけるSDGsマッピングを分かりやすく開示している事例4件を紹介する。いずれにも共通する特徴は、自社グループのCSRマテリアリティ(重要課題)の特定ないし見直しと連動させていることである。
4 「伊藤園CSR/ESGレポート2017」(9頁) https://www.itoen.co.jp/files/user/pdf/csr/report/sustainability_report_all_2017.pdf
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