2018年02月09日

Jリート市場は2年ぶりに反落。物件取得額は大きく鈍化-不動産クォータリー・レビュー2017年第4四半期

金融研究部 不動産調査室長 岩佐 浩人

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2. 地価動向

地価は引き続き上昇している。国土交通省の「地価LOOKレポート(平成29年第3四半期)」によると、全国100地区のうち上昇が「86」、横ばいが「14」、下落が「0」となった(図表-7)。中心部における大規模開発事業の進捗やインバウンド需要の拡大、金融緩和のもと国内外の投資マネーが流入していることなどから不動産需要は高い水準にある。
図表-7 全国の地価上昇・下落地区の推移
一方、野村不動産アーバンネットによると、首都圏住宅地価格の変動率(2018年1月1日時点)は2期連続で前期比0%となった(年間0.4%上昇)。「横ばい」を示した地点の割合は77.8%で横ばい傾向が続いている(図表-8)。
図表-8 首都圏の住宅地価(変動率、前期比)

3.不動産サブセクターの動向

3. 不動産サブセクターの動向

(1) オフィス
三鬼商事によると12月の都心5区空室率は前月比0.09%上昇の3.12%、平均募集賃料は前月比0.6%上昇し48ケ月連続でプラスとなった。12月は既存ビルで2次空室が発生し空室率がやや上昇したものの水準自体は依然低く、賃料は年率3~4%のペースで緩やかに上昇している。また、他の主要都市ではオフィスの新規供給が限定的で需給が逼迫するなか空室率は一段と低下し、札幌と福岡の空室率は東京を下回っている(図表-9)。
図表-9 主要都市のオフィス空室率
三幸エステート公表の「オフィスレント・インデックス」によると、2017年第4四半期の東京都心部Aクラスビル賃料は34,599円(前期比+0.6%)となった。2015年第3四半期をピークに小幅な動きが続いている。ニッセイ基礎研究所では、今後のAクラスビル賃料について今年から始まるオフィスビルの大量供給を受けて2018年後半から2021年まで下落すると予測している3(2017年4Q~2021年3Qの下落率は▲18.5%)。
図表-10 東京都心部Aクラスビルの空室率と成約賃料
また、森ビルの「2017年東京23区オフィスニーズに関する調査」によると、新規賃貸する理由として「業容・人員拡大(36%)」や「立地の良いビル(30%)」が上位となり、「企業ステイタスの向上(14%)」が昨年比5%増加するなど前向きな移転ニーズが広がっている(図表-11)。
図表-11 新規賃貸する理由(2010 年~2017年)
(2) 賃貸マンション
東京23区のマンション賃料は緩やかな上昇が続いている。三井住友トラスト基礎研究所・アットホームによると、2017年第3四半期は前年比でシングルタイプが+1.5%、コンパクトタイプが+2.6%、ファミリータイプが+2.6%となり全てのタイプで上昇した。(図表-12)。また、東京の高級賃貸マンションについても空室率の低下に伴い賃料が上昇し前年比1.7%の16,617円/月坪となっている(図表-13)。
図表-12 東京23 区のマンション賃料
図表-13 高級賃貸マンションの賃料と空室率
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金融研究部   不動産調査室長

岩佐 浩人 (いわさ ひろと)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

経歴
  • 【職歴】
     1993年 日本生命保険相互会社入社
     2005年 ニッセイ基礎研究所
     2019年4月より現職

    【加入団体等】
     ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
     ・日本証券アナリスト協会検定会員

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