2017年12月26日

2017年生保新商品と新サービス-保険料の引き上げという「逆風」をしのぐ各社の創意工夫

小林 雅史

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2健康増進サービスの推進
2016年から各社が多様な健康増進サービスを提供しているが、2017年はさらに加速している。

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命は2016年9月からアプリを中心とした健康関連サービスとして「Linkx(リンククロス)」を展開しているが、2017年4月から、健康状態および生活習慣改善に向けたダイエットアプリ「Linkx reco(リンククロス レコ)」、散歩アプリ「Linkx aruku(リンククロス アルク)」の提供を開始している20

2017年11月には、医療用入院一時金特約などの新発売と同時に、Linkx会員向けに提携による家事代行サービスの提供を開始21するなど、サービスを拡充している。

楽天生命は、2017年2月、生保として初のスマートフォンを活用した女性向けヘルスケアサービスとなる、無料の体調管理アプリ「楽天キレイドナビ」の提供を開始した22

2017年3月には、第一生命がスマートフォンを用いた健康増進サービス「健康第一」アプリの提供を開始した。スマートフォンで撮影した写真を使用して、BMI(Body Mass Index,体重を身長の二乗で除した指数)の変化と年齢の経過による将来の自分を確認することができ、歩数・BMI の計測なども可能となっている23

2017年10月には、健康年齢の測定や写真での食事のカロリー算出機能などが追加されている24

このほか、2017年3月の日本生命による健康診断やがん検診の受診による「健康サポートマイル」の提供25、2017年6月の明治安田生命の株式会社FiNCと共同開発した企業の健康経営をサポートするプログラム「MY健康増進サービス」の提供26など、健康増進サービスはさまざまなかたちで提供されている。
 
20 「パートナーや友人と続けられるダイエットアプリ新登場!!リンククロス レコ~毎日 4 つの簡単なタスクで体型改善~」、「継続的な散歩で健康促進を図る新アプリ リンククロス アルク 全国約 300 コースの散歩コースを当社の社員が歩いて作成」、2017年3月30日、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命ホームページ。
21 「新商品『医療用入院一時金特約』と『医療用通院特約』の発売および家事代行会社とパートナーシップ契約締結」、2017年11月2日、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命ホームページ。
22 「国内生保初、スマホを活用した女性向けヘルスケアサービスを開始~体調管理アプリ『楽天キレイドナビ』で、女性の健康増進をサポート~」、2017年1月23日、楽天生命ホームページ。
23  「“健やかに生きる、幸せになる” 健康第一プロモート始動『健康第一』アプリの提供及びスタートキャンペーンを開始」、2017年3月21日、第一生命ホームページ。
24 「健康長寿社会に対応したスマートフォン向けアプリ『健康第一』がレベルアップ ~最新テクノロジーを活用し、健康年齢の測定や写真で食事のカロリー算出が可能に~」、2017年10月5日、第一生命ホームページ。
25 「ご契約者様向けのヘルスケアポイント『健康サポートマイル』の導入について」(2017年3月22日)、日本生命ホームページ。
26 「中小企業向け健康経営支援プログラム『MY健康増進サービス』の提供開始について」、2017年6月21日、明治安田生命ホームページ。
3地方自治体との包括連携協定
各地方自治体に拠点網や営業職員を抱える生保会社における、地方自治体との包括連携協定締結の動きも進んでいる。

第一生命においては、2015年1月、千葉県の商業者等の高齢者福祉に特化した地域貢献(ちばSSKプロジェクトなど。SSKは、「しない」のS、「させない」のS、「孤立化」のK)に関して、千葉県と協定を締結する27などの動きを進め、2017年3月には、岡山県との防災活動への協力に関する提携により、47都道府県すべてと協定を締結している28

日本生命においても、2016年4月の埼玉県との包括連携協定の締結(高齢者支援に関する協定項目を含む)29をはじめとして、岐阜県、愛知県、滋賀県、大分県など多くの県と協定を締結している。

岐阜県などとの包括連携協定においては、「高齢者が安心して生活できる社会づくりのために、当社職員が認知症サポーターに登録し、地域における見守り活動や声かけ等の支援活動を実施します」30と謳っている。

同様の包括連携協定締結は住友生命、明治安田生命などの事例もあり、協定内容の実現に向けた各社の動向が注目される。
 
27 「千葉県と第一生命保険株式会社との「『ちばSSKプロジェクト』等に関する協定」の締結について」(2015年1月20日)、千葉県ホームページ。
28 「地域に安心をお届けするための自治体との連携~47都道府県との協定等の締結~」(2017年3月23日)、第一生命ホームページ。
29 「埼玉県との『包括連携協定の締結』について」(2016年4月5日)、日本生命ホームページ。
30 「岐阜県との『包括連携協定の締結』について」(2016年8月24日)、日本生命ホームページ。
 

4――おわりに

4――おわりに

2017年の中間決算においては、海外子会社などを含む連結ベースでの保険料等収入は、一部生保会社において増収を確保したものの、単体ベースでは、多くの生保会社が減収となっている。

一方、日本アクチュアリー会において、生保会社の経験死亡率や国民死亡率の改善状況等を踏まえ、標準生命表の改定案が作成され、2017年5月に金融庁に提出された。

これを受け、金融庁において検証を行い、2018年4月から「標準生命表2018」が適用されることとなった。

2018年4月には再び保険料率の改定が行われる予定である。

今後の各社の動向を引き続き注視していきたい。
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小林 雅史

研究・専門分野

(2017年12月26日「保険・年金フォーカス」)

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