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政策保有株式削減の進捗状況-進む損害保険、出遅れる銀行
金融研究部 主任研究員・年金総合リサーチセンター・ジェロントロジー推進室・ESG推進室兼任 高岡 和佳子
しかし、3メガバンクいずれも、平均保有順位に大きな変化は無く、先の政策保有株式の削減は遅れ気味という判断に変わりない。
前段の通り、政策保有株式の削減の進捗状況は、削減率だけでなく平均保有順位の変化も含め判断すべきである。そこで、政策保有銘柄の数が多い企業それぞれの削減率及び平均保有順位の変化をプロットした(図表7)。右下ほど、削減率が高く、また平均保有順位が下がっていることから、政策保有株式削減が進んでいる企業と判断できる。そして、左上はその逆である。
削減率だけでなく、平均保有順位の変化においても、損害保険の政策保有株式削減は他業種に比べて進んでいることが確認できる。削減率に限れば、銀行と一般事業会社と間に大差はなかった。しかし、平均保有順位の変化に着目すると、一般事業会社の方が進んでいるように見える。このことから、政策保有株式削減という点で、銀行は他業種に比べて出遅れていると考えられる。
なお、相対的に政策保有株式削減が遅れている銀行の中では、3メガバンクは、進んでいる部類に入る。
4――最後に
3メガバンクが苦戦する背景も理解できるが、他業種、特に、損害保険各社と比較して出遅れている事も事実である。残り1年~3年間の各行の取り組みに期待するともに、発行体企業の意識変化にも期待したい。政策保有株式が保有企業の資本効率向上の阻害要因となりうること、これが批判される理由である。だからこそ、コーポレートガバナンス・コードでは、政策保有株式について中長期的な経済合理性や将来の見通しを検証することを求めている。しかし、理由は一つではない。株主総会の形骸化(監視機能の無効化)を通じて、保有される側の企業価値向上の阻害要因になりうることも政策保有株式が批判される理由である。自社が一般投資家の眼にどのように映っているかを考えると、政策保有株式の売却に対する抵抗感も弱まるのではないだろうか。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
03-3512-1851
- 【職歴】
1999年 日本生命保険相互会社入社
2006年 ニッセイ基礎研究所へ
2017年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
(2017年12月18日「基礎研レポート」)
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