コラム
2017年12月11日

「夫は仕事、妻は家庭」が理想の男性比率 47都道府県価値観ランキング(1)-未婚化データ検証「理想の彼はどこにいる?」

生活研究部 人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子

文字サイズ

夫は仕事、妻は家庭が理想の男性割合データからわかること:印象論だけでのエリア移動はNG

図表からは

「大都会は女性の仕事が沢山ありそうだから、結婚後も働けるかも」
「都会の男性のほうが、女性が結婚後も働くことに理解がありそう」

といった、未婚女性がともすると抱きがちなイメージだけで、自らの育った地と比較もせずにほかのエリアの男性に期待してはいけないことがわかる。
 
3大都市と言われる東京、大阪、名古屋のある東京都、大阪府、愛知県をみると、愛知県はむしろ「専業主婦が理想」の男性割合でベスト5にランクインしている、専業主婦理想男性の多いエリアである。

つまり「大都会のあるエリアの男性のほうが、女性が結婚後も働くことに理解がありそう」は、愛知県に関してはあてはまらない。
 
大阪府も「専業主婦が理想」男性割合14位で、愛知県・大阪府の両者とも全国平均より多くの男性が専業主婦を理想としている。

「カップルのあり方で最も最先端をいくのでは」というイメージが強そうな東京都も、全国平均よりは専業主婦が理想の男性は少ないものの、少ない順で上位10エリア入りはしていないことに注目したい。

その他をみても、若い女性にお洒落で先進的なイメージのある大都市のある神奈川県(横浜市、川崎市)・兵庫県(神戸市)・京都府(京都市)・福岡県(福岡市)・広島県(広島市)など、2015年の国勢調査で「法定人口トップ10入り」した大都市のあるエリアのほとんど(北海道・埼玉県以外)が全国平均よりも専業主婦を理想とする男性割合が多い方にランクインしているのである。
 
こうしてみると、「都会の男性のほうが、女性が結婚後も働くことに理解がありそう」とおもっているのであれば、もしかすると考え直した方がいいのかもしれない。
 
 
「お洒落な都会の街で、女性が働くことに理解がある夫と共働き生活」

勿論、男性側の理想にあわせてばかりで結婚が進むわけではない。だとしても、実態はむしろ「お洒落な都会の街で、女性が働くことに理解がある夫と共働き生活」の逆になりそうなデータにも見える。女性側の理想が最終的には通るとしても、「大都市で働くお洒落な妻計画」は想像するほど実現が楽ではないようである。
 
「一生に一度のことだから、慎重に決めたい」と思いつつ、「思い込み」であまり目的に合わない行動をしてしまっていないか、「行動の根拠となり得るデータをもとに」考える。

人生において大切な目標を「ただの夢」に終わらせず、より確実に達成していくためにはとても大切なことである。
 
(続編:47都道府県価値観ランキング(2)のリリースをお待ち下さい)
Xでシェアする Facebookでシェアする

生活研究部   人口動態シニアリサーチャー

天野 馨南子 (あまの かなこ)

研究・専門分野
人口動態に関する諸問題-(特に)少子化対策・東京一極集中・女性活躍推進

経歴
  • プロフィール
    1995年:日本生命保険相互会社 入社
    1999年:株式会社ニッセイ基礎研究所 出向

    ・【総務省統計局】「令和7年国勢調査有識者会議」構成員(2021年~)
    ・【こども家庭庁】令和5年度「地域少子化対策に関する調査事業」委員会委員(2023年度)
    ※都道府県委員職は就任順
    ・【富山県】富山県「県政エグゼクティブアドバイザー」(2023年~)
    ・【富山県】富山県「富山県子育て支援・少子化対策県民会議 委員」(2022年~)
    ・【三重県】三重県「人口減少対策有識者会議 有識者委員」(2023年~)
    ・【石川県】石川県「少子化対策アドバイザー」(2023年度)
    ・【高知県】高知県「中山間地域再興ビジョン検討委員会 委員」(2023年~)
    ・【東京商工会議所】東京における少子化対策専門委員会 学識者委員(2023年~)
    ・【公益財団法人東北活性化研究センター】「人口の社会減と女性の定着」に関する情報発信/普及啓発検討委員会 委員長(2021年~)
    ・【主催研究会】地方女性活性化研究会(2020年~)
    ・【内閣府特命担当大臣(少子化対策)主宰】「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」構成員(2021年~2022年)
    ・【内閣府男女共同参画局】「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」構成員(2021年~2022年)
    ・【内閣府委託事業】「令和3年度結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム開発調査 企画委員会 委員」(内閣府委託事業)(2021年~2022年)
    ・【内閣府】「地域少子化対策重点推進交付金」事業選定審査員(2017年~)
    ・【内閣府】地域少子化対策強化事業の調査研究・効果検証と優良事例調査 企画・分析会議委員(2016年~2017年)
    ・【内閣府特命担当大臣主宰】「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」構成メンバー(2016年)
    ・【富山県】富山県成長戦略会議真の幸せ(ウェルビーイング)戦略プロジェクトチーム 少子化対策・子育て支援専門部会委員(2022年~)
    ・【長野県】伊那市新産業技術推進協議会委員/分野:全般(2020年~2021年)
    ・【佐賀県健康福祉部男女参画・こども局こども未来課】子育てし大県“さが”データ活用アドバイザー(2021年~)
    ・【愛媛県松山市「まつやま人口減少対策推進会議」専門部会】結婚支援ビッグデータ・オープンデータ活用研究会メンバー(2017年度~2018年度)
    ・【愛媛県法人会連合会】結婚支援ビッグデータアドバイザー会議委員(2020年度~)
    ・【愛媛県法人会連合会】結婚支援ビッグデータ活用研究会委員(2016年度~2019年度)
    ・【中外製薬株式会社】ヒト由来試料を用いた研究に関する倫理委員会 委員(2020年~)
    ・【公益財団法人東北活性化研究センター】「人口の社会減と女性の定着」に関する意識調査/検討委員会 委員長(2020年~2021年)

    日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
    日本労務学会 会員
    日本性差医学・医療学会 会員
    日本保険学会 会員
    性差医療情報ネットワーク 会員
    JADPメンタル心理カウンセラー
    JADP上級心理カウンセラー

(2017年12月11日「研究員の眼」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【「夫は仕事、妻は家庭」が理想の男性比率 47都道府県価値観ランキング(1)-未婚化データ検証「理想の彼はどこにいる?」】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

「夫は仕事、妻は家庭」が理想の男性比率 47都道府県価値観ランキング(1)-未婚化データ検証「理想の彼はどこにいる?」のレポート Topへ