2017年10月19日

先進医療などの対象となる医療技術の変遷-30年間における新技術の定着と保険適用の拡大

小林 雅史

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4――先進医療からの保険適用の状況

公的医療保険に関する診療報酬改定は2年ごと(偶数の西暦年)に行なわれ、その際、先進医療についても新たに保険適用とするか否かが検討される。

詳細は(表3)のとおりであり、1986年4月から2016年4月までの16回の診療報酬改定により、累計141技術(一部重複あり)の先進医療が保険適用となっている。

注目すべき点としては、医療技術の進歩に伴い、

(1) 開腹、開胸などを伴わない、内視鏡を用いた手術や、皮膚を通して行なう手術 31技術
(1986年:内視鏡的胆管結石除去術、経皮的尿路結石除去術、経尿道的尿管砕石術など)

(2) 対外衝撃波を用いた治療・手術 2技術
(1988年:対外衝撃波による腎・尿管結石破砕治療、1992年:対外衝撃波による胆石破砕治療など)

(3) 放射線治療 8技術
(1996年の電磁波温熱療法、ガンマユニットによる定位放射線治療、1998年の直線加速器による定位放射線治療など)

(4) 遺伝子診断、DNA診断技術 19技術
(1998年の造血器腫瘍のDNA診断、2006年の悪性腫瘍の遺伝子診断など)

(5) 人工臓器、臓器移植 11技術
  (1988年の人口膵臓、1994年の補助人工心臓、人口内耳、1998年の生体部分肝移植手術など)

などが保険適用されていることである。

とくに(1)開腹、開胸などを伴わない、内視鏡を用いた手術や、皮膚を通して行なう手術、(2) 対外衝撃波を用いた治療・手術は、患者への侵襲性が低いことから、疼痛などの影響も少なく、予後も順調で入院期間なども短縮される、画期的な医療技術の進歩を反映したものといえよう。

近年ではロボットを活用した医療技術、画像支援ナビゲーションなどの医療技術も保険適用されている。
(表3)保険適用された先進医療1
(表3)保険適用された先進医療2
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