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30歳代と60歳代でねんきん定期便が予測年金額に影響を与えない理由は、以下のようなことが考えられる。前述したが、50歳未満のねんきん定期便の予測年金額は実際の額から乖離があるものである。30歳代では、保険料を支払い始めて時間が経過しておらず、また予測年金額は実際の年金額から乖離しており、情報としては利用可能性が低いことが考えられる。次に60歳代では、公的年金に対する関心が高まり、ねんきん定期便以外の情報も利用されること等により、ねんきん定期便に関する知識が予測年金額に影響しないものと考えられる。
50歳代では、ねんきん定期便の予測年金額は実際の額に近い額が記載されていることから、ねんきん定期便を良く知っている方が、予測年金額を高いことは期待どおりである。一方で、男女共に、40歳代では、ねんきん定期便の予測年金額は実際の額から乖離しているにも関わらず、ねんきん定期便を良く知っている方が予測年金額が高い。これは、ねんきん定期便に公的年金自体の関心を高める効果があり、他の情報を収集することなどにより、予測年金額に差が生じたものと解釈できる。
4―結論と課題
厚生労働省(2016)『ねんきん定期便』
http://www.mhlw.go.jp/jigyo_shiwake/dl/h28_jigyou04a_day1.pdf
中嶋邦夫(2017)「年金改革ウオッチ2017年2月号~ポイント解説:「ねんきん定期便」のオンライン化」『保険・年金フォーカス』2017-02-07.
Mastrobuoni G. (2011) “The Role of Information for Retirement Behavior: Evidence based on the Stepwise Introduction of the Social Security Statement,” Journal of Public Economics 95, pp.913-925.
SSAB (2009) The Social Security Statement, How it Can Be Improved. Technical Report, Social Security Advisory Board.
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北村 智紀
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(2017年09月29日「基礎研レター」)
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