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- 中国フィンテック、平安保険の戦略-ネット金融経済圏の形成、集まる4億人の金融ビッグデータ
2017年08月15日
3-新規顧客の2割はネットから、ネット金融の顧客の23%が生命保険へ加入
加えて、各事業の顧客数をみると、ネット金融やネット保険などを中心としたその他の顧客数が1,779万人と最も多く、保険、銀行、投資(証券)といった既存の金融事業と、ネット金融などを中心とした新たな事業間の相互利用や、複数のサービスの利用も見られる。
平安保険が発表した2016年上半期(1~6月)の状況によると、グループ内の金融サービスにおいて、ネット金融、既存の金融業務の両方を利用している顧客数は2015年末よりおよそ1,300万人増加の7,865万人で、顧客総数の2割を占めた。両方を利用するユーザーの特徴として、2016年上半期の金融商品等の平均契約件数は2.31件で、既存金融業務のみの顧客の2.16件よりも多い。また、ネット上のサービスの平均利用件数は2014年末時点の1.65件から2.44件まで増加するなど、ネットを介したサービスの利用意向が高くなっている(図表4)。
平安保険が発表した2016年上半期(1~6月)の状況によると、グループ内の金融サービスにおいて、ネット金融、既存の金融業務の両方を利用している顧客数は2015年末よりおよそ1,300万人増加の7,865万人で、顧客総数の2割を占めた。両方を利用するユーザーの特徴として、2016年上半期の金融商品等の平均契約件数は2.31件で、既存金融業務のみの顧客の2.16件よりも多い。また、ネット上のサービスの平均利用件数は2014年末時点の1.65件から2.44件まで増加するなど、ネットを介したサービスの利用意向が高くなっている(図表4)。
ネット金融の顧客は、生命保険と同様に、銀行預金や理財としての利用、契約が24%と高い点からも、生命保険についても資産形成の一環としてネットを活用している姿が見えてくる。一方、生命保険の契約者のうち、ネット金融のサービスを利用したり、契約したのはわずか3%と、生命保険の契約者からネット金融の利用は少なかった。
このように、平安保険は「IT×金融×生活サービスの融合」戦略の下、ネット金融を活用した顧客の増加や、その他の金融商品の販売への波及効果が見られるようになってきた。グループ全体でみると、個人顧客を対象としたリテール業務が純利益の66%を占め、顧客1名あたりの金融商品の契約件数の増加が収益の増加につながっており、それが最終的にグループ全体の純利益の増加を押し上げる効果をもたらしている(図表6)。
このように、平安保険は「IT×金融×生活サービスの融合」戦略の下、ネット金融を活用した顧客の増加や、その他の金融商品の販売への波及効果が見られるようになってきた。グループ全体でみると、個人顧客を対象としたリテール業務が純利益の66%を占め、顧客1名あたりの金融商品の契約件数の増加が収益の増加につながっており、それが最終的にグループ全体の純利益の増加を押し上げる効果をもたらしている(図表6)。
平安保険は、集まった4億人にものぼる金融ビッグデータを活用し、特に市場の成長が著しいP2P事業や、資産形成にともなう個人の財テク分野、健康分野への応用を強化していくとしている。更に、金融サービスを進化させるべく、ユーザーが平安保険の金融経済圏内でとったあらゆる金融行動、その履歴から新たな技術の開発にも力を入れている。
2017年も前年の売り上げのおよそ1%にあたる70億元を投じ、次世代の技術として注目される、生体認証(声紋、顔)やAIによる予測技術、意思決定技術の更なる進化を進めている。声紋認証については、レンディングの審査の際の声の細かい変化の検知などへの活用を開始した。顔認証は、深セン市において、高齢者の年金給付に際する窓口手続きの負担軽減や、当局の窓口業務の効率化に貢献している。また、重慶市政府と連携し、インフルエンザなどの流行予測のサポート事業を開始するなど、平安が保有するネット金融(フィンテック)を通じたビッグデータや技術の蓄積は、民間セクターの枠を越え、地方政府など公的なセクターにも広く影響を及ぼし始めている。
2017年も前年の売り上げのおよそ1%にあたる70億元を投じ、次世代の技術として注目される、生体認証(声紋、顔)やAIによる予測技術、意思決定技術の更なる進化を進めている。声紋認証については、レンディングの審査の際の声の細かい変化の検知などへの活用を開始した。顔認証は、深セン市において、高齢者の年金給付に際する窓口手続きの負担軽減や、当局の窓口業務の効率化に貢献している。また、重慶市政府と連携し、インフルエンザなどの流行予測のサポート事業を開始するなど、平安が保有するネット金融(フィンテック)を通じたビッグデータや技術の蓄積は、民間セクターの枠を越え、地方政府など公的なセクターにも広く影響を及ぼし始めている。
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経歴
- 【職歴】
2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
(2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
(2019年度・2020年度・2023年度)
・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
・千葉大学客員准教授(2023年度~) 【加入団体等】
日本保険学会、社会政策学会、他
博士(学術)
(2017年08月15日「保険・年金フォーカス」)
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